内容説明
日本のヌーヴェル・ヴァーグの旗手として戦後日本映画を牽引した革命児・大島渚。世界的な映画作家の感動的なエッセイ集。
目次
第1章 私の生存の意味(『夜の鼓』について;今井正下手くそ説について;作家の衰弱―『からっ風野郎』批判 ほか)
第2章 わが思索、わが風土(わが思索、わが風土;歴史と悔恨―アンジェイ・ワイダ;幻の党派の友よ―斎藤龍鳳追悼 ほか)
第3章 俘虜と天使(衰退というタイトル―小林信彦;重い声―淡島千景;曇りない笑顔―美空ひばり ほか)
著者等紹介
大島渚[オオシマナギサ]
1932年、京都市生まれ。54年、京都大学卒業後、松竹大船撮影所に入社。59年『愛と希望の街』で監督デビュー。続く『青春残酷物語』(60年)、『日本の夜と霧』(60年)でその革新的なテーマと独創的な映像表現が絶賛、「日本のヌーヴェル・ヴァーグ」の旗手として注目を浴びる。『絞死刑』(68年)以降は国際映画祭でも高い評価を受け、『愛のコリーダ』(76年)、『戦場のメリークリスマス』(83年)は海外でも大ヒットした。96年脳出血で倒れるが、99年『御法度』を撮り、奇跡のカムバックを果たして話題を呼んだ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かふ
24
加賀まりこが松竹ヌーヴェルヴァーグと呼ばれる者たちは先輩映画監督の大家からチンピラ扱いされていたと発言していた。この本のタイトルとのなっている「わが封殺せしリリシズム」でのカンヌで大賞を取り、自身の学生時代に先輩に楯突いたチンピラ性について発言していた。それは同じ改革者でも増村保造を批評(批判)するのかと思ったが納得した。あとで追悼文を書いて若気の至りだったような文章を載せているがテンションが低いと感じた。激情の人大島渚が出ているのは批評家である斎藤龍風の追悼文であろう。ヤクザ性というものだろうか?2024/02/13
原雄一郎
3
あまり時間がなく、各人物について評した部分のみを読んだ。この本を手に取る動機とは関係なく、たまたまDavied Bowie isを見に行ったあとだったので、David Bowieについての語りが特に鮮明に印象に残った。エピソードから垣間見えるBowieはやはり粋そのものだった。いつか大島さんを語れるようになったら、再読したい2017/02/06
tsukamg
0
封殺せし、と断る必要はないだろう。大島渚が豊かな感情を抱えていたことは周知のことと思っていた。ただこの本は、ぎゅっと圧縮された大島さんの感動の発露が、映画ではなくエッセイになったものの集まりというところがいい。斎藤龍鳳への弔辞は、死した者に対する激情の言葉が、読み手の心にこだまするようだ。2014/07/18