内容説明
昼は刑事捜査官、夜になればDJという生活をしていた男、ドリ・ハダーは12月のある寒い朝、ワシントンD.C.の蚤の市で、いつものようにレコードが詰まった箱と向きあっていた。そこで彼は、ミンガリング・マイクというアーティストの小宇宙と予期せぬ出会いを果たすことになった。そいつは、たった10年の間に、50枚という驚愕的な枚数のレコードと、少なくとも出せうる限りのシングル盤をリリースした、60、70年代のソウル界のスーパースター。されど、微塵もこの名前に聞き覚えのないハダーは、詳しい観察でそのワケを発見した。その箱に収まっていたレコードは、中身のビニール盤までも全部が全部、ボール紙で作られていたのだ。一枚一枚は、見開きの仕様に組み立てられ、詳しいライナー文が書き込まれ、その「レコード」の溝は一本一本が丹念に描き込まれるという、念入りな仕上がりであり、しかも数枚のアルバムにはあたかも実際のレコード屋で手に入れたかのように、透明な薄いビニールの包装までもが付いていた。ハダーは自分の職業の知恵を活かし、間もなくミンガリング・マイクの自宅のドアの前に立つことになる。彼らの友情は芽生え、マイクは、おびただしい数のアルバム、ヒットシングル、サウンドトラック盤にまつわる神話と自分の人生の秘密を徐々に明かしていった。本書において、ハダーはマイクの心に刺さる人生物語を語り、彼の傑作アルバム、45回転盤を総天然色で紹介し、マイクの想像上の崇拝者とマイクを対面させることに、遂に成功した。
目次
よみがえるスーパーヒーロー
もの静かな観察者
窓辺にて
ミンガリング・マイクひとり会社
ただ泣くばかり
帰ってきたスーパースター、ミンガリング
ミンガリング・マイクからのメッセージ
著者等紹介
ハダー,ドリ[ハダー,ドリ][Hadar,Dori]
昼間は刑事捜査官、夜はDJという肩書きを持つ。ワシントンD.C.在住
鈴木望[スズキボウ]
明治大学文学部卒。ノアルイズ・レコード従業員。レコードの買い付けで渡米すること年数回。いくつかのバンドを掛け持ちするドラマーでもある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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