感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
12
10年前に失踪したパパが突然帰ってきた。パパは黒人移民。ママは生粋のフランス人。ママとパパ。一般化された名詞により彼らの状況は個別具体的なものではなく、一般的なものであることが意味されている。パパのような移民がどのような扱いを受けるのか、底辺から這い上がらなければならない人間の苦悩と、ブルジョワ的小市民の臆病さが地面スレスレの視点から覗かれている。社会的状況と個人的な思惑・感情がひとつに混ざり合い、本戯曲はマーブル状の玄妙さを醸し出している。たんなる社会風刺に終わっていないところに読み応えを感じた一冊。2014/05/09
belier
0
不条理すぎず、現実的すぎず、あいまいすぎず、はっきりしすぎず、政治的主張があるようなないような、つかみどころのないマリー・ンディアイはやっぱりいい。村上春樹が小説の合い間に翻訳するようにマリー・ンディアイは戯曲を書くらしい。どちらもいい仕事をする。肩の力を抜いてはいると思うが、そのおかげでかえっていい作品に仕上がっている。そんな気がする。2013/10/03
葛
0
発行日:2013年6月15日初版発行 著者:マリー・ンディアイ Marie N'Diaye 訳者:根岸徹郎 編者:日仏演劇協会 編集委員:佐伯隆幸、齋藤公一、佐藤康、高橋信良、根岸徹郎、八木雅子 企画:アンスティチュ・フランセ日本 装丁者:狭山トオル 発行者:鈴木誠 発行所:(株)れんが書房新社 印刷・製本:三秀舎2020/01/12