内容説明
防犯カメラによる刑事事件の証拠が増えている。なかでも注目すべきは、1人の鑑定人で、年間120~150件の鑑定書を作成し、刑事犯をさばいていく。しかし、舞鶴女子高生殺害事件、南風原強盗事件、さらに法政大学器物破損事件で鑑定書が冤罪事件を引き起こして、問題となっている。本書では、画像が読み解く真実をテーマに、特に刑事事件でその冤罪を取り上げて、その原因と機構を明らかにした。
目次
第1章 舞鶴女子高生殺害事件
第2章 南風原強盗事件
第3章 法政大学器物破損事件
第4章 渋谷暴動事件
著者等紹介
小川進[オガワススム]
1953年東京生まれ。1980年東京大学工系大学院博士課程修了(工学博士)。1998年コーネル大学大学院博士課程修了(PhD、農学博士)。1980~1995年東京都庁(土木技術研究所ほか)。1998~2000年農業環境技術研究所研究員。2000~2008年立正大学地球環境科学部助教授。2008~2011年東京大学空間情報科学研究センター客員研究員。2010~2012年タイ国立ソンクラ大学講師。2012年長崎大学大学院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だまし売りNo
31
防犯カメラを証拠とした冤罪の例を紹介する書籍である。本書は日本の冤罪について以下のように指摘する。「袴田事件を筆頭に多くの刑事事件が冤罪を生んでいる。おそらく、全容疑者の三分の一は冤罪といってよいだろう。多くは、証拠不十分のまま、犯人にされている」(7頁)。防犯カメラそのものというよりも防犯カメラの恣意的な利用が冤罪を起こす。市民が情報を使えるように情報開示の徹底というアプローチが成り立つ。冤罪に取り組む運動からは検察の保有する全証拠の開示が要求されている。2023/05/24
ソノダケン
1
DNAにならぶ刑事事件の證拠として急増しているのが、防犯カメラの映像。鑑定人でもある著者が、問題点を画像つきで指摘する。どうしようもなくボケボケな「證拠映像」の数々に度肝を抜かれた。また、「有罪製造機」とでもゆうべき鑑定人を実名で糾弾しており、いろいろな意味でシャレになってない。 http://nearfuture8.blog45.fc2.com/blog-entry-1993.html2014/11/13
Special77
0
1人の鑑定結果を糾弾している。まえがきのところの「3分の1は冤罪といってよいだろう」という箇所は根拠がもう少しほしい。著者が非難している教授の学歴をバカにしているような記述も感じられる。2019/09/03