内容説明
強かんや強制売春はれっきとした戦争犯罪である。過去の戦犯裁判は、「慰安婦」制度をどのように位置づけ、戦時下での女性への性暴力をどう裁いたのだろうか。VAWW‐NET Japan(バウネット・ジャパン、「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)は、2000年12月に「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」を開くにあたり、ジェンダーの視点による戦争責任の徹底的な問い直しを始めた。その成果の一つが本シリーズである。本巻では、これまで戦争犯罪が、とくに戦時性暴力がどのように裁かれてきたのか、過去の戦犯裁判だけでなく、現在の各国における紛争時の人権侵害への取り組みもとりあげ明らかにした。“裁く”ことの意味を改めて問い直し、戦犯裁判をジェンダーの視点から描く初の試みである。
目次
第1部 戦犯裁判の原点(「人道に対する罪」の成立;戦時性暴力とニュルンベルク国際軍事裁判;戦時性暴力と東京裁判)
第2部 戦犯裁判の展開(BC級裁判―イギリス裁判は何を裁いたか;中華人民共和国の戦犯裁判;イスラエルのアイヒマン裁判―イスラエル現代史における意味 ほか)
第3部 裁かれる現代の人権侵害(旧ユーゴスラビア紛争―女性への暴力と国際刑事法廷;南アフリカ―真実和解委員会と女性たち;ラテンアメリカ―人権侵害と加害責任 ほか)