内容説明
『都新聞』に連載された、第五回連載「大菩薩峠(第五篇)」の第五四四回から七一五回まで(大正八年六月三十日から十二月十七日)を挿絵と併せて完全収録。
著者等紹介
中里介山[ナカザトカイザン]
明治18(1885)年、神奈川県西多摩郡羽村(現、東京都羽村市)生まれ。13歳で上京し、電話交換手、小学校教員となり、平民社周辺の社会主義運動に参加。その後、社会主義を離れ、明治39年に都新聞社(現在の東京新聞社)に入社する。明治42年に初の新聞連載小説を執筆し、未完の大作となる「大菩薩峠」は大正2(1913)年より連載を開始。都新聞での連載終了後は、東京郊外に居を構えて、大阪毎日新聞(東京日日新聞)、国民新聞、読売新聞、介山が出版する雑誌『隣人之友』などに書き継いだが、昭和19(1944)年に腸チフスにより逝去
井川洗〓[イカワセンガイ]
明治9(1876)年、岐阜県生まれ。日本画の富岡永洗に師事し、明治39年からは都新聞社に入社して、新聞連載小説の挿絵を描いた。時代物を得意とし、その後『講談倶楽部』の表紙や口絵によって注目されると、『キング』、『冨士』、『少女画報』などでも筆を揮い、挿絵専業画家の先駆者となった。昭和36(1961)年に死去。享年85歳
伊東祐吏[イトウユウジ]
1974年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みつ
16
この巻では米友が机龍之介と共にいる場面、龍之介を仇と追う宇津木兵馬が神尾主膳の元を訪ねる場面もあり、いよいよ二人は出会うのかと思わせての相変わらずのすれ違い。甲州を逐われた能登守は駒井甚三郎として、西洋軍艦の建造を学ぶ。犬のムクは龍之介の凶刃からお君を守るなどこの巻では特に大活躍。神尾主膳の悪役ぶりはますます際立ち、とりわけ犬殺しを生業とする被差別部落民の失敗への仕打ちはむごいばかり。連載回数の番号が5回抜けており、作者によれば原稿紛失とのこと(p246)。この間の梗概を述べるだけで切り抜けるのには笑う。2023/04/24
きょちょ
14
ようやくこの巻で「大菩薩峠第五篇」終了。 前巻で一斉に「動」があったのに、また「静」、話が進展しなくなってしまった・・・。 あ~あ~、あくびまじりに読み進めると、いきなり龍之助とお銀様の関係で、「おおっ」と思わせる文章が出てきたり・・・。 素性は別として、お松とお君はそもそも同等の「重み」で登場したにもかかわらず、お松は変化一切なし、お君は狂ってしまう。 この描き分けは一体何なのか。 これで終わりなら、牢破りの志士は一体何なのか。 作品よりも作者がどういった人なのかに興味が湧いてしまう・・・。 ★★★★ 2016/03/08
あけの
3
なんというか自由奔放 2021/07/19
訪問者
3
しかし兵馬の敵討ちはどうなるのだろう。龍之介とのすれ違いを見ると作者としては敵討ちで終わらせたくないみたいだ。2016/12/19