内容説明
都新聞での第五回連載「大菩薩峠(第五篇)」の第一七八回から三六〇回まで(大正七年六月二十八日~十二月二十七日)を収録。
著者等紹介
中里介山[ナカザトカイザン]
明治18(1885)年、神奈川県西多摩郡羽村(現、東京都羽村市)生まれ。13歳で上京し、電話交換手、小学校教員となり、平民社周辺の社会主義運動に参加。その後、社会主義を離れ、明治39年に都新聞社(現在の東京新聞社)に入社する。明治42年に初の新聞連載小説を執筆し、未完の大作となる「大菩薩峠」は大正2(1913)年より連載を開始。都新聞での連載終了後は、東京郊外に居を構えて、大阪毎日新聞(東京日日新聞)、国民新聞、読売新聞、介山が出版する雑誌『隣人之友』などに書き継いだが、昭和19(1944)年に腸チフスにより逝去
井川洗〓[イカワセンガイ]
明治9(1876)年、岐阜県生まれ。日本画の富岡永洗に師事し、明治39年からは都新聞社に入社して、新聞連載小説の挿絵を描いた。時代物を得意とし、その後『講談倶楽部』の表紙や口絵によって注目されると、『キング』、『冨士』、『少女画報』などでも筆を揮い、挿絵専業画家の先駆者となった。昭和36(1961)年に死去。享年85歳
伊東祐吏[イトウユウジ]
1974年、東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みつ
22
この間に至って、遂に机竜之介も宇津木兵馬もほとんど登場しなくなる。これまで物語を動かしてきた米友、お君、お松に加え、がんりきの百蔵、お絹ら油断のならない人物が中心的な役を担う。場面は甲州に落ち着き、新たに赴任する駒井能登守とこれに対抗する神尾主膳が強い対照を形成し、ここに火傷を負ったお銀様も登場。江戸末期の世情は長州征伐や奇兵隊にわずかに触れられるのみで、様々なエピソードが重なりつつも、物語の行方はいよいよ混沌としてくる。終わり近くでようやく現れた竜之介の、虚無的なまでの人斬りへの熱情はどこに向かうのか。2023/03/06
きょちょ
11
この巻も「大菩薩峠第五篇」。本筋の主人公、龍之助や兵馬はほとんど登場しない。沢山の人が主人公になってきた。最初の頃から登場するお絹、言い寄る男をつれなくし、その男が他の女と仲良くなると嫉妬し意地悪する。兵馬に惚れたお君、それを反省し幼馴染の米友に逢いたいと思い、さらに甲府御支配に赴任した駒井能登守に優しくされ浮足立つ。人の心は安定しない。滑稽であるけれども、良くも悪くもやっぱりそれが人間だ。ちょっと登場した龍之助は、弱い者でも女でも斬りたくなってしまう。あらら、狂気の世界に足を踏み入れるのか。 ★★★★2016/02/23
あけの
5
きみちゃんのターン お銀さまがいい2021/01/27
あきひと
2
脇役と思っていたお君、お松、米友、七兵衛らが主役。甲州街道を八王子から小仏峠、猿橋、笹子峠を越えて甲府に入り、悪殿主膳らと絡む。兵馬、龍之介とも甲府に居るのだが本巻ではちょい役。2023/02/18
訪問者
1
龍之介も兵馬もあまり出てこなくなった。神尾主膳と駒井能登守が新たな主人公か。2016/12/08