内容説明
イラン高原には、竪坑の深さ数十m、横坑の長さ五~十kmで、人が屈んで歩ける地下水を導く暗渠、カナートが掘られている。中には深さ300m、長さ七十kmのものもある。―砂漠の国イランが大国となりえたのは、まさに砂漠にカナートを掘り、豊かなオアシス集落や都市を造り出したイラン人の自然に対する闘いの結果に他ならない。―オアシス集落、そこに住む人々の生活と経済を支える命綱としてのカナート、そのカナートを主役に据え、イラン社会の多様性を念頭におきながらも「水の論理」でイラン社会の解剖を試みた。
目次
序章 イランの水文化
第1章 沙漠とカナート―沙漠開発の主役・カナート
第2章 カナートの技術と文化―キャラジーの水書『地中に潜在する水の開発』を中心に
第3章 水の論理と土地制度
第4章 カナートとイラン社会の構造
第5章 水利開発の思想と歴史