内容説明
感覚的に強烈でありながら不思議な美しさを湛えた本書において、写真家マックス・アギレーラ=ヘルウェグは他のどんな芸術写真にも成しえなかった境地へとわれわれを導く―外科手術中の人間の体内に。肝移植、脳腫瘍切除、帝王切開、皮膚移植、乳房切除手術。これらは本書に記録された50の手術プロセスのごく数例にすぎない。4×5のカメラと特殊照明を用いて、ヘルウェグは外科医の技能を生き生きと甦らせ、そしてその鋭いメスの下でのわれわれの身体の衝撃的な真の姿を捉えている。そしてこの不穏かつ魅惑的な写真群は人体の存在そのものの性質を問い質しているのだ。各手術の過程に関する詳細な解説と、写真家自身の手術室における体験を記した臨場感溢れるエッセイを合わせて収録した本書は、これまで隠蔽されていた禁断の世界の驚くべき探検の記録であり、メディカル・アートというジャンルの新たな地平を拓く記念碑的写真集である。