内容説明
「私戦」―凍てつく寸又峡に13人の人質を楯に立て籠もり、ライフルとダイナマイトで武装した金嬉老が闘った敵とは何だったのか。日本社会の底辺で呻吟し続けた男の重い過去を交錯させ、在日朝鮮人に対する差別問題を描く。「私のなかの朝鮮人」―朝鮮総督府の役人から現地の軍需会社の管理職に転じた父を持ち、朝鮮・京城に生まれ育った植民者二世である著者が、自らの敗戦体験を通して、かつての支配者としての日本人が持ち続ける朝鮮民族への差別意識を問う。
目次
私戦
私のなかの朝鮮人
著者等紹介
本田靖春[ホンダヤスハル]
1933年、旧朝鮮・京城に生まれる。55年、早稲田大学政経学部新聞学科卒業後、読売新聞社に入社、社会部記者、ニューヨーク特派員などを経て、71年退社。64年には、売血の実態を告発し、現在の100%献血制度のきっかけとなった「黄色い血」キャンペーンを展開する。77年、『誘拐』で文芸春秋読者賞、講談社出版文化賞受賞、84年、『不当逮捕』で講談社ノンフィクション賞受賞。潮賞、大宅壮一ノンフィクション賞の選考委員を務める
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