出版社内容情報
わが国独自の文学批評のスタイル、「文藝時評」の全容を初めて集大成
【収録内容】
VITA SEXUALIS〔文藝欄〕（内田魯庵）『東京朝日新聞』１月６日／僻見か不聡明か〔国民文学欄〕（片上天弦）『国民新聞』１月25日／昨年の小説脚本界〔彙報〕『趣味』１月／最近の感想（秋田雨雀）『新潮』１月／評論 一年の回顧他（石川啄木）『スバル』１月／最近文藝概観［評論・小説・詩歌・雑］『帝国文学』２月／一月の創作（中村星湖）『新潮』２月／新年の小説（小宮豊隆）『ホトトギス』明治２月／雑誌月評（生）『文章世界』２月／「それから」に就て（武者小路実篤）『白樺』４月／文壇時語（××老人）『新潮』５月／五月の文藝雑誌（島崎藤村）『文章世界』５月／文壇時言〔文藝百方面〕（緑蔭の人）『読売新聞』６月12日／五月の小説界『趣味』６月／小説と脚本 最近の創作界（秋田雨雀）『新潮』６月／七月の小説界〔国民文学欄〕（霹靂火）『国民新聞』７月23日／六月の小説（阿部次郎）『ホトトギス』７月／雑誌月評（生）『文章世界』７月／七月の小説界〔論説〕（中村星湖）『早稲田文学』８月／現時の文壇を罵る『新潮』８月／新作短篇小説批評（志賀直哉）『白樺』８月／八月の創作と評論（白雲子）『学生文藝』９月／「門」を評す（谷崎潤一郎）『新思潮』９月／九月の小説（Ｘ生）『新思潮』10月／評論の評論（相馬御風）『文章世界』10月／十月の小説界〔論説〕（中村星湖）『早稲田文学』11月／文壇の近状を報ずるの書〔評論〕（前田晁）『文章世界』11月／十月の重なる雑誌〔研究〕『新潮』11月／当今の女流作家（徳田秋江）『文章世界』11月／十一月の重なる雑誌〔研究〕『新潮』12月／四十三年文壇の総括（相馬御風）『文章世界』12月／ほか
【本書の特色】
●同時代の小説・文藝評論・戯曲への現場批評である「文藝時評」を初めて集大成する。収録文は明治十年代末より昭和四十五年まで。「文藝時評」は、その時の「文壇」と密接な関係にある。文壇棲息者の生きいきとした注視と活動があってこそ、初めて同時代の現場批評が成立する。本大系には「文壇」の成立期から「文壇」と「文壇ジャーナリズム」が濃密な関係をもちえた昭和四十五（一九七〇）年までの「時評」を収める。諸機関の協力をいただき、できうるかぎり新聞、雑誌の初出原本を復刻収録する。
●「文藝時評」は、主として小説・文藝評論・戯曲を批評の対象としている。別に詩、短歌、俳句などを対象とした時評があるが、「特殊なスタイル」のものを除き割愛する。「特殊なスタイル」とは「最近の文学界」などの総題の下に「詩」を含む全ジャンルを評論したものを指す。これらは原則として全文収録する。
●明治篇、大正篇、昭和篇、全巻にわたって詳細な索引を付す。従来の作家・作品名索引にとどまらず、項目（たとえば「大逆事件」「関東大震災」、文学論争など）からも作品をたどることのできるよう工夫した。
