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内容説明
オスカーの友人・ユーリに手紙を残して死んだトーマという下級生。ユーリを慕っていたという彼は、なぜ死を選んだのか。最近不安定なユーリの心に、彼の死がまた暗い影を落とすのではないか。そんな憂慮をするオスカーの前に現われた転校生エーリク。驚くことに彼はトーマそっくりだったのだ―。原作を敬愛する著者による渾身の小説化。若さゆえの苦悩を森博嗣的世界観で描いた美しい物語。小説化の経緯を綴った文庫版あとがきも収録。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
1957年愛知県生まれ。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞して作家デビュー
荻尾望都[ハギオモト]
1949年福岡県生まれ。69年『ルルとミミ』でデビュー。76年『ポーの一族』『11人いる!』で第21回小学館漫画賞、97年『残酷な神が支配する』で第1回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞、06『バルバラ異界』で第27回日本SF大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
122
2012/4/26 Amazonより届く。 2023/1/8〜1/11 10年ものの積読本。萩尾望都さんの有名なトーマの心臓を森博嗣さんがノベライズ。残念ながら漫画は読んだことがないが、森ワールドに通じる世界観は感じられた。2023/01/11
森の三時
30
もともとは原作である萩尾望都さんの『トーマの心臓』を探していましたが、私の通う図書館には置いてなくて、代わりに森博嗣さんのこの本を見つけましたので、これもご縁かと思い、手に取りました。おそらく、10代の頃しか持っていないであろう、少年の繊細な内面の機微を丁寧に描いていると思いました。若い頃は上等な精神ゆえに、その悩む顔さえも美しいと感じさせます。相手の心に触れようとするけれど、すべてをわかりあえるわけではないから、それを少しでも埋めようとする精神が友情なり愛情であると感じました。2018/11/14
coco夏ko10角
26
原作未読、森博嗣先生なので手に。読む前になんとなく思ってたのと違う箇所がいくつかあって何度かびっくり。タイトルの意味やトーマのこと、この本だけだとよくわからなかった。場面場面の空気の描き方がとてもよかった。2016/07/08
harupon
24
萩尾望都さんの『トーマの心臓』は読んでいませんが、森博嗣さんが絶賛する『トーマの心臓』を小説化した作品という事で読みました。森さんが表現する美しい世界観。素敵だった。場所も時代も台詞も変えているのは、「原作」を読んだ時の「新たな」感動を損なわないためだとか。そうあとがきに書かれているので原作を読もうと言う気になりました。2021/10/02
ぺぱごじら
23
森さんがあとがきを書いている、という奇跡のような一冊(笑)。萩尾望都さんを崇拝と言わんばかりに『別格』に置いている森さんが萩尾さんの物語を小説化した『もうひとつのトーマの心臓』。恐らくは日本の旧制大学であろう、(あるいは高校か?バンカラではないが)とてもレトロで木の家具や机や廊下の薫りがしそうな舞台で起きた『青春のひとこま』。ぼくが旧体制の学制になんとなく憧れをもってしまうのは、こういう『時間をかけて大人になる贅沢』に対してなのだろうな、と感じた一冊。キタノ・ブルーのような、薄暗い透明感に包まれた物語。2012/10/23