MF文庫
乱暴と待機

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784840134996
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

二段ベッドが置かれた、陰気な借家に同居する“妹”こと奈々瀬と“兄”英則。奈々瀬は家にこもり「あの日」から笑顔を見せなくなった“兄”を喜ばせるため日々「出し物」のネタを考えながら、英則からこの世で最も残酷な復讐をされる日を待ち続けている。一方、英則はそんな“妹”を屋根裏に潜り込んでは覗く、という行為を繰り返していた。そこへ英則の同僚・番上が訪れ…。

著者等紹介

本谷有希子[モトヤユキコ]
1979年石川県生まれ。2000年に自身が主宰・作家・演出を務める「劇団、本谷有希子」を旗揚げ。『遭難、』で第10回鶴屋南北戯曲賞を、『幸せ最高ありがとうマジで!』で第53回岸田國士戯曲賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

322
演劇的な小説であるとは言える。そして、一応は実験的な小説であるとも。しかし、当初の思い付きから小説を起筆し、その後の展開を登場人物たちの恣意性に任せたために、構想力の欠如という結果に終わってしまった感は否めない。すなわち、小説としてのリアリティの破綻とはいわないまでも、少なくても共感性を放棄することにはなっただろう。私の評価では、これまでに読んだ(とはいっても、まだ5冊目に過ぎないのだが)本谷有希子氏の小説中では最も低いランキングとせざるを得ない。2018/06/10

ゴンゾウ@新潮部

103
英則と奈々瀬のどうしようも無い関係。支配する側とされる側、復讐する側とされる側。監視、束縛、異様でいびつな関係がふたりにとっては不可欠な状態。本谷さんしかきっと書けない狂気な世界。強引にいつも引き込まれてしまう。2016/12/24

Shinji

99
何、この展開!? 登場人物は少ないけど、全員どこかおかしい! それなりの世間的対応は出来るんだろうけど、それぞれの思考や言動にイライラさせられっぱなしでした。 でも率直に面白かったですね!本谷有希子さん、ずっと読みたくて積んでいたんですが、ガッツリ合いそうです。 小ネタが所々にちりばめられていて、初読みの作家さんに対する妙な構えがすぐになくなりました。英則の変態っぽい行動も、奈々瀬の相手の気持ちを想像する癖も、ホントは純粋ってところからきてるのかもしれませんね♪2016/01/27

hit4papa

89
復讐の機会を伺う男とそれを待ち続ける女の歪な同棲生活。男は、十二年前の不慮の事故を当時小学生だった女になすりつけ、女は理由も分からず四年に渡る監視生活を送ります。最早、憎しみ理由も判然としない二人の異常な生活は、ドロドロではあるものの、著者ならではの語り口ゆえに、時に可笑しさが溢れ出します。男の職場の後輩、その恋人が現れて二人の凍った時間が動き始めるという展開。ドロドロ度がさらに増して、行き着く先に興味がそそられます。女の言う「永遠の愛は疑ってしまうけど、永遠の憎しみなら信じられる」は名言です。2022/05/09

なゆ

79
なるほど。穂村さんも言ってる、最高に「気持ち悪い!」ハッピーエンドだわ。最後の一行なんて、おぞましくてゾゾゾとするんだけど、なんでか嬉しそうで幸せそうで…この混乱した読後感をなんとしよう。ここまで狂気に徹すると、かえって気持ちいい。すこしずつ勿体ぶるように二人の関係が明かされていくうちに、番上とあずさみたいにこのヘンな世界に巻き込まれていく。どちらもめんどくさい英則と奈々瀬、この2人の閉ざされた世界は一般人には理解不能だが、ふたりの間ではそれなりに楽しかったのだろうし、これからもきっとそう。お幸せに♥2016/04/17

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