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ダ・ヴィンチブックス
「世界」はそもそもデタラメである

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  • サイズ B6判/ページ数 579p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784840126144
  • NDC分類 778.04
  • Cコード C0036

内容説明

社会はそもそもマボロシである。マボロシの「社会」からデタラメな「世界」へ。「世界」を、「社会」を、語る映画というアレゴリー。

目次

世界が変われば世界感覚も変わる。終末世界で主人公が絶叫する映画『ドラゴンヘッド』に、日常感覚を終末世界に持ち込む、という想像力の決定的欠如を見出す
「終わりなき日常」の停滞を抱えた平成の「クソ社会」が、終末を前にした途端に輝き出す、という面倒な事態を捉えた映画『昭和歌謡大全集』の敏感さを見出す
デジタル化によるダウンサイジングが「邦画の欠落」を際立たせるなかで、インディーズ映画『亀虫』『少年歌』に「世界」と「実存」とを見出す
映画『キル・ビル』と、映画『過去のない男』との決定的な違いに、昨今あふれる「頽楽的なレトロ」から、あるべき「本来的なレトロ」への、脱出の突破口を見出す
「世界」の指し示しに成功した映画『IN THIS WORLD』と、「社会」へと閉ざされた映画『アンテナ』『きょうのできごと』との決定的な違いに意味を見出す
自らの限界を知る者同士の入れ替え不能な絆を描く映画『4人の食卓』に、自らの限界を知る者が、不可能と知りつつ不可能な夢を見る営みを見出す
押井守監督のアニメ映画『イノセンス』に、「ヒトではなくモノの入れ替え不能性」ならびに「精神ではなく身体の入れ替え不能性」という逆説的モチーフを見出す
「同じ夕日」を、主人公と、観客とが、それぞれ別様に体験する、という映画特有の表現の成功例を、『殺人の追憶』と『ミスティック・リバー』に見出す
「我ら」とは誰か。我らの「原罪」は贖われるのか。贖罪の可能性と不可能性を描いた映画『パッション』と『CASSHERN』に原罪論の今日的な水脈を見出す
真実を知らずに法螺話に酔う貧しさ。真実を知って法螺話を交わす豊かさ。その差異を映画『世界の中心で、愛をさけぶ』『21グラム』『ビッグ・フィッシュ』に見出す〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

踊る猫

33
興味深く読む。作品それ自体と生真面目/愚直に対峙し、そこから宮台流の社会学や哲学を駆使した分析に取り組んでいく。一度読んだだけなので消化不足のところも多々あり、読み直す必要があるだろう。気になったところは、左翼の弱点として世界の問題と自分の実存の問題を取り違えているという指摘。平たく言えば生きづらさを社会のせいにするなという話になるのだろう。だが、宮台は一方で社会を「クソ社会」と切り捨てている。社会を生きる絶望をそれでもぐい呑みしてサヴァイヴする処方箋はなんだろうか。答えは「ノリの良さ」なのかもしれないな2019/04/03

ゆうきなかもと

9
とんでもなく面白い。深い。分厚いこの一冊を読むと、宮台真司の社会の見方。世界の見方。芸術作品の鑑賞、批評のポイントが、これでもかと反復される。そのため、読み手自身の社会の見方、世界の見方、芸術作品への鑑賞、批評のポイントも変化してしまう。いや、オレがそうだったって話なんだが。まさにミメーシスが生じたらしい。それから、宮台真司の褒める映画は、本当に凄すぎる。2021/02/04

はすのこ

6
宮大的映画批評の最大の特徴は、映画から社会、世界を考える点にある。本書の内容を要約すると、広範囲に渡る宮代式エッセイ集ではないだろうか。ただひたすらに分厚い...。2016/02/27

静かな生活

5
宮台本の中でもトップレベルの巨篇にして、宮台理論の核心が見え隠れする隠れた問題作。数年前の最新宮台映画批評『正義から〜』をチラリとみてみたが、あちらは理論がぶっ飛びすぎている感がある。その意味で本作の方を推したい。前書きに出てくる「占いの効用」に色々なものが象徴されている。これは「よく出来た映画評論」ではない。誤解を恐れずに言えば、「オカルト神学」スレスレの啓蒙書というかなんというか。[400冊目]2020/08/09

袖崎いたる

4
ベンヤミンに依拠しつつ、世界がデタラメであるという事実を直視、させる映画を求めて書き続けられる目。社会学者であるものの、宮台真司が強く動機付けられているのは脱社会・超社会的な未規定なもの、サイファ。横伝いにがんじがらめにしてくる社会を嘲笑うように顕現してみせる縦の力の正体を探りつつ、社会システム理論は私たちが依存する意味論を照明する。マトマルことを志向・嗜好しがちな世相な昨今に、デタラメへと至る道筋を示してくれる。それを受けとめる意味論が、読者にはあるのやら。まだ末端冷えびえたる春先に自問する。2021/02/18

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