内容説明
あるときは毒々しく、あるときは艶かしく…小説世界に描かれた花々の個性と実体をめぐる異色の小説読本。夏目漱石、泉鏡花から筒井康隆、村上龍まで。作家の創り上げた世界をフィールドに、植物学の専門家が縦横無尽にふみこむ話題の評論集。
目次
コインロッカーのブーゲンビリア―村上龍
伐られたガジュマル―安達征一郎
コウゾ先生―筒井康隆
トロピズメン―内田百〓
正月の梅―夏目漱石
わさびの花咲く―井伏鱒二
樹上の菫―川端康成
唇草―岡本かの子
牡丹の墓―三島由紀夫
マロニエとパリと―岡本かの子〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トムトム
7
小説にちょっとしたアクセントで出てくるお花の解説と、その花のイメージから紐解く小説の解釈。ただ、私は日本の小説をほとんど読んだことがないので、ピンと来ず。私のせいです。残念!2019/11/18
竜王五代の人
2
私も作品を直接読んだことがあるのが中島敦ぐらい、あと作家としての倉橋由美子なので文学としてはピンとこない、のは私が悪い。岡本かの子とか山崎豊子とか文学上の欠点を指摘してまで取り上げないかんのかな、とは思う(文学史上の流れとか、正確な描写のものを、というものもあるんだろうけど)。逆に著者の押しは泉鏡花で、取り上げている量も多いし(次点が倉橋)、マイナーな植物好きだけど描写や生かし方がうまいとしている。2022/09/23