内容説明
室生犀星の評価を辿る。奥野健男、吉本隆明、清岡卓行、結城信一、福永武彦…多彩な論陣で送る必携評論集。
目次
室生犀星入門(奥野健男)
室生犀星の方法(奥野健男)
室生犀星―因果絵図(吉本隆明)
「かげろふの日記遺文」論(清岡卓行)
怒りの文学「杏っ子」(福永武彦)
犀星ノオト(結城信一)
犀星評の変遷(奥野健男)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
16
☆☆☆★ 室生犀星が文壇において特異な立ち位置にあることが良くわかった。佐藤春夫との論争は興味深い。読んでみたい作品が増えた。竜宮の掏子、聖処女、みえ、黒髪の書、童貞、黄色い船、渚。2018/05/19
nightU。U*)。o○O
3
犀星小説史を簡潔に、好意的にまとめたもの。市井鬼と晩年ものだけでなく小説の各時代の代表的な作も触れている。吉本隆明や清岡卓之という若い世代も、犀星の最晩年に直にふれて興味を覚えていたらしい。筆者の犀星の評価方法が絶妙。要は日本文学史に犀星のような小説を語る体系としての評価軸は存在せず、彼のように絶賛するか、読み捨てるかするしか他になにもないのだ。2014/09/19