感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
4
初出の時期にかなり幅があるのにもかかわらず、それでも著者独特の文体というか、語り口はほぼ一貫しているため、殆ど違和感を覚えないというのは、さすがというべきか。時々内容が今ひとつ入ってこず「あれ?」と思うこともあるが、それも著者ならではの持ち味だろう。また、この年になってからこそしみじみと共感できることが多くなったことに、我ながら唖然とする(笑)。表題作はキリスト教の聖画についてのエッセイで、未信者だからこその視点が興味深く読める。宗教的センスがありながらも、未信者で通してきたという立場が故の妙というか…2018/07/04
葛西悪蔵
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古井由吉のエッセイには退屈な心地好さがある。言葉に酔うとでも形容すればいいだろうか。密度の濃ゆさのせいか一気読みしにくいが、決してつまらない訳ではなく、寧ろ極上。まぁ、万人向けではないのだろうなぁ……2013/01/02
いのふみ
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冥界と生界とあわいに佇んでいる、と言うのだろうか。もっと卑近な譬えで言えば、軽く酔った状態、寝入りばなの状態の心地よさ、とでも言うのだろうか。古井氏の文章は現在と過去が混交する、ゆるやかで、ときに強靭な語り口を持っている。内容は旅と登山のエッセイ、都市に住まう男女を主人公にした掌編、聖画の鑑賞、の三本立て。2012/11/22
OraInuchan
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通読3回目。2022/03/03