出版社内容情報
人生を謳おう! 愉しみも絶望も!
あの頃の私は自分自身も漫画家として壁にブチ当たり、鬱鬱とした日々を…。その時、突然やってきたのが中原中也で、詩集を読んでいる最中、中原の心臓の音が聞こえました。その衝撃で描いたのが「歌」。
…この作品を描くことで、漫画は楽しいのだ、好きに描いていってもいいのだと、自分の中でやっと扉が開いたように感じます。〈筆者〉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜の女王
13
☆☆ 中原中也を描いた短編、芥川龍之介原作の短編など文藝に関係した話ばかりを載せた短編集。この前、番子さんの『よちよち文藝部』を読んで中原中也に興味が出たので手に入れた。ギャグな番子中也と失恋とスランプに苦悩する松田中也。ベクトルは正反対なんだけど、中也のエキセントリックな性格と強烈な自負心だけは共通してる。松田さんの中也に対する共感だけは充分伝わってきた。が、残念ながら原作には未だ興味が持てず。最後のエッセイマンガが面白かった。谷根千に(限ったことじゃないが)どんどん風情がなくなっているのが残念。2014/10/05
緋莢
9
親友の小林秀雄に恋人をとられ、唯一の発表の場であった同人誌も潰れ、低迷中の詩人・中原中也。詩を書かずにはいられない中原中也の姿を描いた表題作他、5編を収録した作品集。2014/12/10
にがつ
6
読了。買うつもりじゃなかったものの、ふと目があったのでっていうぬいぐるみ的な。裏に書かれてる「マンガ家としてぶちあたり云々」で気になって。歌人もマンガ家も、創作する人達は命を削って描いているのはそのとおりだなと。どの短編も面白かった。最後のエッセイ漫画も、そうだったのかーと思いながら読めた。2014/03/09
アキ
3
中原中也の漫画があると教えていただいて。やはりというか、なんというか、表題作が好きです。歌に対する純粋なまでの思い…詩の中には彼の心臓の音が、確かに聞こえる気がする。2015/07/24
睡
2
「えへん、龍之介。」がよかったので、続けて。山口の中也記念館に行ったら、「こんな町一番のバカの記念館なんて恥晒しだ(←うろおぼえ)」と建てるのに反対する人もいたと入り口に掲げてあったっけ。芥川っぽい短編もなかなか。デビュー4年目までにこんなものを描いていたって、すごいな。2014/03/18