内容説明
貧富の拡大、拝金主義、住宅問題、官僚の汚職、ローン地獄…。上海を舞台に中国人男女4人の、可笑しくてやがて切ない夢と希望と現実を100%リアルに描く、かつてない問題作。
著者等紹介
六六[リュウリュウ]
現代中国を代表する女性ベストセラー作家。中国安徽省出身。大学卒業後、貿易会社に1年勤務後、職を転々とする。1999年夫の留学に伴いシンガポールに移住。幼稚園に勤めながら小説を書き始める。2007年12月『上海、かたつむりの家』の初版(原題『蝸牛』)を出版。現在は6歳になる長男と上海で二人暮らし
青樹明子[アオキアキコ]
ノンフィクション作家、中国ラジオ番組プロデューサー。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院アジア太平洋研究科修了。大学卒業後、テレビ構成作家、舞台等の脚本家を経て企画編集事務所を設立。ノンフィクション作家として世界数十ヵ国を取材。1998年より中国国際放送局にて北京向け日本語放送パーソナリティーを務める。北京哈日族(日本ファン)を生み出す原動力ともなった「ミュージックステーション」(中国名・音楽網站)の番組制作・アンカー・パーソナリティー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
99
上海で生きる若い男女4人の夢と現実、希望と挫折を描いた小説です。貧富の差、劣悪な住環境、不動産の高騰、ローン地獄、愛人問題....狭く小さい家(カタツムリの家)であっても、高いローンを背負ってでも自分の家を持ちたいと憧れる人の苦悩がひしひしと伝わってきます。それは、日本でもバブル期に同じような欲と理想と現実に苦しんだ同じ経験をしているからでしょう。それは、どんな国の市民でも陥ることなのだと感じました。前半は4人の暮らしぶりを唸りながら読んでいたのですが、後半はまるで昼ドラのようでちょっと肩すかし...2021/01/29
Speyside
29
読友さんお薦め。住宅バブル真っ最中の上海で、なんとか持ち家を手に入れようともがく共働き夫婦とその家族を中心とした群像劇。日本人からは想像しづらい家族の濃すぎる繋がり、日々罵倒されつつ妻に尽くす夫、拝金主義、仕事=権力者にすり寄って便宜を図ってもらうこと、そして成功者はもちろん愛人を囲う。以前台湾に住んでいたので中華系の人々の価値観について多少は知っているつもりだけど、ここまであからさまに見せつけられるとなかなかハード。考え方を理解はできるけど、共感はできない。面白かったけど、リアルすぎてなんか疲れた(笑)2021/01/31
たまきら
29
うわあ、痛いけれど面白かった。中国人の同僚が子供を3歳まで姑にあずけ、次女が懐かないので泣いていたのを思い出しました。ていうか、不動産70年経ったら没収されるんだ…知らなかったなあ。月曜日に同僚に聞いてみよう。中国のぶつけてくるようなあからさまな表現。醜いのにどの登場人物もどこか純粋で、愛すべき人たちで…。ドラマも見てみたくなりました。しかし…上海おそるべし。2019/03/02
kaoriction@感想は気まぐれに
25
登場人物の誰一人として共感する者のなき小説。作者の言うところの「真の主人公」である宋思明に至っては、理解し難い を超えて、憤りさえ感じる。「真の悪の根元」はお前だろう!と。上海で生きる男女4人の夢と現実、希望と挫折。貧富、拝金主義、土地の高騰、住宅問題、官僚の汚職、不倫・愛人問題。現代都市、上海で暮らす中国人のリアル。ドラマ化されたが、放送終了後、理由は説明されずに突然打ち切りになる。「内容があまりに事実だから」?中盤からぐいぐい惹き込まれた。共感はできず理解もし難い。が、それが上海の彼らのリアルだ。2015/06/01
言言
11
This is中国みたいなのを想像していたのだけど、結果的には「俺を信じろ」と言う男は世界共通でダメ男だし、昼ドラのような嘘みたいな展開は万国共通なのだと、2人には悪いけれど読みながらニヤニヤしてしまいました笑。2023/10/17