出版社内容情報
聖と俗、仏教と政治的抑圧の間で、聖地ラサの人々はどう生きているのか。気鋭の人類学者が彼らの心の路地裏を歩きその精神風景を描く。
村上 大輔[ムラカミ ダイスケ]
内容説明
聖と俗、慈悲と欲望、仏教の教えと政治的抑圧。聖地ラサに住む人々は何を考え、どう生きているのか―。チベット滞在八年、気鋭の人類学者が彼らの心の路地裏を歩き、その精神の風景を描く。
目次
プロローグ 八年のラサ滞在
第1章 バルコルの聖と俗
第2章 チベット人のフォークロア
第3章 天空の大地の肌触り
第4章 霊的なもの、得体の知れないもの
第5章 彷徨の民族アイデンティティ
第6章 仏教日本とチベットを繋げるもの、隔てるもの
エピローグ 目に見えないものの奥へ
著者等紹介
村上大輔[ムラカミダイスケ]
人類学者。1969年生まれ、大阪府出身。名古屋大学工学部応用物理学科卒。英国ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)にて社会人類学博士号取得。フィールドワークのため中国チベット自治区をはじめ、インド、ネパールなどに約10年間滞在、2014年帰国。現在、駿河台大学専任講師、早稲田大学非常勤講師など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
91
若い時分、”秘境”感に惹かれ河口慧海の旅行記をはじめチベットの本はよく読んだ。しかし、本書は現代のチベットでの八年に及ぶ滞在記。チベット仏教の聖地という観点の他、解放軍進駐以来の漢族支配に対する抵抗運動の行方も気になる。かつては共産主義イデオロギーと宗教の対立であったが、今やチベット人の信仰心はまるごと中国の市場経済の波に飲み込まれ、物質的欲望に翻弄されてる人々もいるという。ラサの街に住み、人々の中で暮らし、ポタラ宮などの表舞台からは見えないチベット人の日常世界の中に、人々の心の奥底にある風景を感じ取る。2021/02/12
あんこ
11
河口慧海『チベット旅行記』を読んだので、現代のチベットを知りたくなった。この本は人類学者である著者が2000年から足かけ8年、ラサに滞在中書いたエッセイだ。写真も豊富で楽しい。慧海の文章をひいて説明している箇所もあり、辛辣な表現の慧海に対し著者はチベット愛にあふれている。チベットの人たちはいまだ信心深く迷信深いようだし、鳥葬も行われているそう。鷲の写真が添えられているがその鷲のまるまるとしてること!これに一番驚いた。2018/01/12
入道雲
4
チベットと言うと、ダライ・ラマ、ポタラ宮、青蔵鉄道が連想されるが、実態としてチベットをどの位知っているかと言うと、ほとんど知らない。この書では、著者の長い滞在で残したブログ的な話をまとめている。特にチベット人の思想や風習、習慣など中心に垣間見られる。2018/01/02
鈴木貴博
2
筆者が八年間のラサでの生活で見聞したこと感じたこと考えたことをつづる。 チベットの文化生活について知るとともに、その魅力と直面している困難を感じとった。 行ってみたい。2017/09/26
岩月クロ
1
読んでいると更に興味をそそられて、わくわくする、まさに滞在記!という感じでした。本当にチベットをホームだと感じているから書ける内容なのだろうと感じます。何気ない内容、出来事から、チベットの風土や現地の人々の生き方が垣間見れて面白かったです。2021/01/15