福武文庫<br> イギリス怪奇傑作集

福武文庫
イギリス怪奇傑作集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 222p/高さ 16X11cm
  • 商品コード 9784828832319
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

内容説明

ボウエン夫人の自慢は庭の草木の手入れ。地面に挿し木をしてやるだけで野菜や果物はすくすくと成長し、庭を覆うほど繁茂する。あるとき、彼女は誤って自分の指を斧で切り落としてしまうが、病院から戻ってみると何と…(「園芸上手」)、ポーの「黒猫」を思わせる恐怖小説の逸品(「人殺し」)など戦慄の8篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ニミッツクラス

17
91年(平成3年)の税抜466円の福武文庫初版。同社前年刊行の「猫は跳ぶーイギリス怪奇傑作集」の続編のような立ち位置とある。8編収録で、簡略な著者紹介はあるが作品の原題や初出の一覧が無いのは惜しい。キップリングの「モロウビー…」は…公房の「砂の女」の原型とさえ思える。前者の初出は多分1900年前後だが、後発の公房の着想は別の処らしい。バレイジの「スミー」と称する邸内の鬼ごっこ遊びは面白いのか?…日本とは住宅事情が真逆だが、暗やみで参加者人数を数えると一人多いとかの設定は王道とは言えすごく怖い。★★★★☆☆2021/03/29

timeturner

5
「スミー」以外は初めて読むものばかりだったけどユニークで読み応えのある作品ばかりだった。ちょっと残酷趣味寄りだけど読めないほどのグロではない。R・C・クック「園芸上手」、L・P・ハートリー「毒瓶」、アンガス・ウィルソン「ラズベリー・ジャム」が特に怖い。キップリングの「モロウビー・ジュークスの不思議な旅」は『翻訳編吟 11』収録「戦慄の一夜」に似た設定だった。2023/08/20

酔花

5
何でもすくすく生長する庭に気をよくした鼻持ちならない老婦人に襲いかかる恐怖を描いたクック「園芸上手」といったストレートな怪奇からアンソロジーが幕を開ける。異色作家短編集に収録されても不思議ではない作品も半分くらい収録されており、人間の狂気も十分怪奇になりうるものという編集方針が垣間見える。ハートリー「毒瓶」はミステリアスで結末の解釈が難しい。一体誰が何をしたのか、真相が語られることもなく唐突に物語が終わる。ネットで調べて見たらリドルストーリーの可能性も浮上したけど真相やいかに。2014/12/14

misui

2
怪奇アンソロジー。かくれんぼの怪を描くA・M・バレイジ「スミー」、殺人者の心理に息が詰まるW・W・ジェイコブズ「人殺し」といった正統派怪奇小説に惹かれるが、コミュニティに疎外された奇矯な老姉妹と少年が出会うアンガス・ウィルソン「ラズベリージャム」もいい。キプリング「モロウビー・ジュークスの不思議な旅」などはインド版「砂の女」のようだった。全体的にはやや地味な印象。2016/05/01

madhatter

2
再読。割と精選された怪奇小説アンソロジーだと思うのだが…奇想から朦朧法、その一方で古典的怪奇小説もありと、なかなかバラエティ豊かだし、要所要所で有名どころを押さえた著者の顔触れも楽しい。再読してみて心に残ったのは「黒い沼地のブラウニー」。民話的設定である一方、「先に目を付けたのは一体どちらなのか?」「奥様の執着の理由って何なんだ?」と、近代的で解決されない疑問が止まらない作品。2012/05/18

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