内容説明
経済学との出会い、社会学者・小室直樹の「システム論」、そして業績―その膨大な著作、研究、思想を、東京工業大学教授・橋爪大三郎、評論家・副島隆彦が時系列に沿って解説する。
目次
対談 橋爪大三郎・副島隆彦「小室直樹が我々に遺した思想と意志」
復刻 現代の預言者小室直樹の学問と思想―ソ連崩壊はかく導かれた
著者等紹介
橋爪大三郎[ハシズメダイサブロウ]
1948年神奈川県生まれ。社会学者。東京工業大学教授。同大学世界文明センター副センター長を兼務。東京大学文学部社会学科卒業。同大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。執筆活動を続けるかたわら、言語研究会、小室ゼミナール等に参加。言語を社会現象の根幹に位置づける言語派社会学の構想を展開
副島隆彦[ソエジマタカヒコ]
1953年福岡県生まれ。評論家。早稲田大学法学部卒業。外資系銀行員、予備校講師、常葉学園大学教授などを歴任。政治思想、法制度、金融・経済、社会時事評論など多くの分野で、画期的な研究と評論を展開。副島国家戦略研究所(SNSI)を主宰し、日本初の民間人国家戦略家として研究、執筆、講演活動を精力的に行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
greenman
3
世間では変人と思われている小室直樹に以前から興味があり、「日本人のための憲法原論」などを読んできた。この度1992年に出版された本が再販されたことを知り、どうしても読みたくなった。読んだ感想は、社会科学者としての小室直樹はまっとうなことを考えていたのだということがよくわかった。ソビエト崩壊の論理も山本七平との日本教の話もいい。しかし経済学が一般均衡理論という新古典派総合で止まっているのが致命的だ。その後経済学は、実は人間が合理的だという前提から始めていることだけでは解決できないことに向かっていったからだ。2013/04/12
shushu
1
1992年に出版された本を2011年に増補して再出版したもの。語る二人の小室直樹への敬愛が熱い。学問というのはこういうパーソナルな関係でつながっていくのだろう。ここで説明されていることは私の頭ではついていけないので、ノーコメント。2018/10/12
1
社会はシステムである。システムは構造と機能から成る。社会には無数の変数があり、それらの間には制約がある。この制約は関数関係である。この関数関係のことを構造と呼ぶ。社会を分析するというのは、これらの関数の連立方程式を解くことである。これは社会的な諸力の均衡点を定めるということだ。科学には理論モデルと実証が必要である。この二つが揃うと、予測をすることが出来る。天文学は月蝕日蝕を予測できる。だから天文学は科学だ。社会科学が科学になるためには、理論モデルを作り、それによって正確な予測ができるようになる必要がある。2014/10/09
みっちー・ざ・せかんど
1
二人の師を思う気持ちがほとばしりまくる本だった。内容も興味深く、とかく学会の鬼っ子扱いされがちな小室直樹氏の業績を分かりやすく伝えてくれる。 ただ師への敬愛が盲目の域にまで達している部分もある2014/01/18
Sato1219
1
大学時代、優秀な先輩の下宿に、小室直樹のカッパ・ブックスの新書がずらりと並べられていて驚いたことがある。当時(90年前後)の私の認識も、この本で紹介されている社会一般の受け止め方と同様、極右の変人学者であったからだ。同じ頃、橋爪大三郎や副島隆彦の構造主義や英文法の本を紹介してくれたのは、大学時代の級友たちだ。初版が出た当時、彼らの師弟関係には思いも寄らず、また、この本自体にも気づかなかったが、長じて、この三氏の著作の愛読者になったのは、彼ら共通の思考法への傾倒の他、自分の幸福な大学時代を思わずにおれない。2011/05/12