内容説明
コーヒーの誕生からスターバックスまで。世界を変えた琥珀色の液体。
目次
わたしたちとコーヒー
コーヒー文化の起源
中国の茶、トルコのコーヒー、そしてウィーンのカフェ
種子をめぐる攻防戦
近代社会はコーヒー・ハウスから
モカの凋落
奴隷制とコーヒー植民地
ナポレオンの大陸封鎖と代用コーヒー
コーヒーの要衝セントヘレナ
ブラジルはいかにしてコーヒー王国になったか
大博覧会の水晶宮で
コーヒー商人アルチュール・ランボー
コーヒーの現在
コーヒー、科学、マーケティング
陰謀と策略―アメリカ合衆国の黒い影
フェアトレード
エスプレッソ―コーヒー界のエスペラント
ベトナム、そして闇の奥
著者等紹介
ワイルド,アントニー[ワイルド,アントニー][Wild,Antony]
イギリスにおける第一級の焙煎業者の買い付け責任者を一三年間勤め、イギリスにスペシャルティ・コーヒーを紹介した人物として広く認められる。その後コンサルタントおよびジャーナリストとして活動。専門は植民地主義とその歴史
三角和代[ミスミカズヨ]
福岡県生まれ。西南学院大学文学部外国語学科英語専攻卒業。旅行会社勤務ののち、翻訳家として活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ののまる
10
ある程度、お茶や砂糖、コーヒーなどの「世界商品」について知識があったからよかったけど、ちょっと話があちこちにいくので読みにくかったな、、、、。芋づる式で、ナポレオンのセントヘレナ時代の暮らしぶりや、ハイチ独立について知りたい。2018/10/31
hutaketa
8
これはすごい!生活をコーヒーの生産に頼っている人は日本の全人口とほぼ同じだが、カップ一杯のコーヒーのうち生産者に渡る金額は概算とはいえたったの1セント!この絶望的な不均衡について、歴史、経済、文化、果てはナポレオンやランボー、スターバックス、フェアトレードまで引き合いに出しながら縦横無尽に語り尽くす。この網羅的な語り口はピンチョンを思わせるほど。冒頭p27、1章の終わりだけでも絶対に読んでほしい。なお原題は「Coffee-A Dark History」。コーヒーの海に溺れたかのような暗く黒い読後感でした。2011/04/17
権現
7
世界的な植民地政策の潮流と、それがきっかけとなって現在に至るまで尾を引いている不公平な貿易構造の視点からコーヒーという嗜好品を捉え直す一冊。スターバックスのエスプレッソであれ、小売店のフェアトレード商品であれ、そして昨今流行りのサードウェーブ・コーヒーであれ、消費国に属する我々は、明らかに不当な扱いを受けている生産者への一定の欺瞞を黙認しながらコーヒーを楽しんでいる。当たり前に存在しているようで実は謎の多い歴史を持つコーヒーを読み解くプロセスは、暗いロマンを伴いながらも実に興味深い。2016/12/29
umeko
6
非常に興味深く読みました。あまりに身近で、気軽に飲んでいた1杯のコーヒー。その歴史や現状の重さに対して、これほどまで認識が薄かった物はありません。2012/05/02
jackbdc
1
人々を魅了するコーヒーに潜む陰の部分を暴いたもの。例えば植民地支配、奴隷的労働、グローバル市場による買い叩きなど。「かつて誇りをもって働いていた業界人が、今や盗品を受け取っているのであり、第三世界の人々を奴隷にしているのだと気づく場面が多くなっている」という表現があった。別の産業でも似たような構造に陥っている例があるだろう。今後も美味しいコーヒーを楽しみ続けるためには、どうすれば良いのだろうか?一部の消費者が行うフェアトレードのムーブメントだけで解決できる問題なのだろうか?2020/10/27