内容説明
オオカミをイヌに、イノシシをブタに変えた「家畜化」。人間の作った世界で動物はどのように変わったのか?ヒトの「自己家畜化」も視野に入れ、進化発生生物学やゲノム解析など最新科学を駆使し、文明誕生の鍵を握る家畜化という進化を読み解く。
目次
キツネ
イヌ
ネコ
その他の捕食者
進化について考えてみよう
ブタ
ウシ
ヒツジとヤギ
トナカイ
ラクダ
ウマ
齧歯類
人間 I 進化
人間 II 社会性
人新世
著者等紹介
フランシス,リチャード・C.[フランシス,リチャードC.] [Francis,Richard C.]
ニューヨーク州立ストーニーブルック校で神経生物学と行動学の博士号を取得したのち、カリフォルニア大学バークレー校とスタンフォード大学で進化神経生物学と性的発達の研究を行った。現在はサイエンス・ライターとして活動している。カリフォルニア在住
西尾香苗[ニシオカナエ]
京都大学理学部(生物系)卒業、同大学院理学研究科修士課程修了、同博士課程中退。生物系翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
30
まず人間の生活圏に近づいても警戒心を持たない個体が生存上有利になり、動物自身が自己家畜化。動物同士が近づくことへのストレスも緩和。その後、人間に従順な個体が選別されて子孫を残した結果、動物の家畜化が進展。体は小型化し、顔の幅が広がり、耳は垂れ、生殖は早まり、人間の意思を読み取れる個体も表れた。総じてネオテニー(幼形進化)の特徴が見られる。人間も自己家畜化により進化した生き物か?2022/06/06
ゲオルギオ・ハーン
25
犬や猫、牛などの動物がどのように家畜化していったかを進化生物学からのアプローチで解説していく。人への警戒心が薄い個体にはじまり、家畜化することにより小型化、性差による特徴がなくなっていくなどの影響が出るのは読んでいて興味深かった。また、アライグマは生息地域によって人との距離の取り方が違うが、まだ遺伝子レベルで変化するほどの影響はない(家畜化の初期段階)とのこと。さらに本書では人類の進化も家畜化との関連性を見て、踏み込んで考察していくという刺激的なところもある。2023/01/28
トムトム
25
進化という言葉を「変化」と読み直せば、しっくりくる本でした。別に進んだわけではないので。野生の狼よりも、犬のほうが生息数が多い。猫も羊も牛も馬も!人間に寄り添うことができた生物が、生息数を増やしています。そのかわり、多様性はなくなっていたりして。人間が滅びれば共倒れかもしれません。はたまた、人間がいなくても実力で問題なくやっていけたり。未来は分かりません!2022/05/12
ステビア
23
1年くらい前に読みかけで放置してたのを拾い上げた。家畜化について見ながら、最新の生物学についての知識が得られるようになっている。ヒトの自己家畜化が起こったかどうかについては判断を保留している。文章はユーモラスで読みやすい。2022/08/15
翠埜もぐら
20
犬や猫、豚や牛馬の他に、ラクダやトナカイと言った変わり種の家畜も含めた、動物の進化と家畜化されるということの意味を、膨大な資料と最新データから解いていくのですが、最終的に人間に関しても自己家畜化で、どう変化していくのかを考察しているのには驚きました。でも遺伝子が大きく変わらなくても人間の作り出す環境の圧力で、見た目や性格が大きく変わっていくというのが興味深い。参考文献の他に索引もついているのがありがたかった。図書館本だったのですが、読み始めてすぐに本屋に買いに行ってしまいました。近々再読予定です。2023/08/25