メンタルヘルス・ライブラリー<br> 相模原事件はなぜ起きたのか―保安処分としての措置入院

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相模原事件はなぜ起きたのか―保安処分としての措置入院

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  • サイズ A5判/ページ数 191p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784826506830
  • NDC分類 326.48
  • Cコード C3047

出版社内容情報

相模原事件の背景と保安処分化した現在の制度を検証し、警察・裁判所・精神科医の三者が共同する新たな刑事政策・法制度を考察する相模原事件は、知的障害者福祉施設で元・施設職員が入所中の障害者19名を殺害した事件です。同職員が事件4ヵ月前に精神科病院に措置入院していた事実が明らかとなり、この制度のあり方に人々の関心が集まってしまいました。しかし、措置入院は心の健康のための制度であり、犯罪を防止するための制度ではありません。相模原の悲劇を二度と起こさないために、
1.地域社会の安全を確保するための警察
2.精神障害者の人権を擁護するための裁判所
3.精神障害者の心の健康に奉仕する精神科医
これら三者が共同するあらたな刑事政策が必要です。
本書は、事件の背景を概観し、来るべき制度について考察しました。

はじめに
第一章 相模原事件と精神医学
相模原事件の概要/メディアは措置入院ばかり取り上げた/措置入院後4カ月で事件発生/被疑者の手紙を読む/手紙は統合失調症の人のものではない/統合失調症の支離滅裂とは/「作戦内容」と称する犯罪予告/警察における情報伝達/警察の初動/警察官通報、措置入院/警職法=実行行為なき身柄拘束/警察官職務執行法と予防拘禁/デートもできない警職法/警職法は裁判所の監視下にある/措置入院とは「裁判なき無期拘禁」/精神科救急と緊急措置入院の常態化
第二章 被疑者は精神障害なのか?
「470人抹殺!」は精神障害なのか?/措置診察における無言のプレッシャー/警察官に取り囲まれて措置診察/次の2つのうちから1つ選べ:「要措置」「措置不要」/それでも「措置不要」と判断したら/胆力のある精神科医ならどうするか/悪態は妄想ではない/思い込みは妄想か?/小田晋の「支配観念」論/支配観念と犯罪/妄想と犯罪/妄想と精神医学の限界/大麻使用には通報義務はないのか?/診断が5つもある?
第三章 予防拘禁としての措置入院
知事の決定としての措置入院/リベラル知事と保守派キャスター/知事には責任もあるが、権限も大きい/精神保健指定医は知事に逆らえない/措置入院は有事に濫用される/措置入院はとりわけ都市部で濫用される/予防拘禁としての措置入院/逮捕状なき逮捕/精神神経学会の混乱/ヘイト思想と措置入院/政治思想と措置入院/治安維持法並みの措置入院
第四章 世界の精神医学濫用
精神医学と国際人権擁護NGO/ソビエト精神医学と思想統制/ソビエトにおける科学の弾圧/ソビエトとドイツ/スラギッシュ統合失調症/ソビエト精神科医とKGB/悪意なき犯罪/ソビエトとサガミハラ/ルーマニアにおける事例/ロビン・マンローによる中国情報/法輪功ブームと臓器狩り/臓器売買と移植医療/安康医院隶属于公安机?/ソビエト精神医学の中国への影響/具体的な濫用のケース/新型弾圧としての精神医学濫用/精神医学の濫用をどう食い止めるか/中国の精神衛生法2012/中国精神衛生法の評価/中国では、三権分立が確立していない
第五章 反体制運動の延長としての保安処分反対闘争
措措置入院とは「ブレーキのない車」/治安の維持は国家の最低限の仕事/国民は障害者の殺人事件を歓迎しない/萩原朔太郎の「医者の正義」/善良な障害者≠危険な障害者/辛坊治郎の障害者差別批判/保安処分反対イデオロギーと措置入院/保安処分に反対したから、措置入院が保安処分化した/保安処分反対論による措置入院批判/保安処分反対論者が脱法保安処分を行っている/保安処分反対イデオロギーの自家撞着/保安処分反対集会へも時々出かけた/学生運動と保安処分反対/市民なくして市民運動なし/太宰治の描く反体制運動/保安処分反対運動の悲劇/ペンローズの法則/市民の価値観より同志の結束を優先/誰も「保安処分」を理解していない/イデオロギーの末路/「障害者階級」という階級は存在しない/保安処分反対主義者は精神障害者を刑務所送りにしたい/保安処分反対主義者は刑法39条にも反対?/呉智英の「珍左翼」と保安処分反対イデオロギー/保安処分反対主義者のオウンゴール/批判の矛先は何よりも保安処分反対主義者たち自身へ/精神障害者は行政から独立しては生きていけない/すべてがむなしい夢だったとはいえない
第六章 相模原事件、そして、事後の検証
措置入院退院後/直ちにその者を退院させなければならない/精神障害によらない自傷他害のおそれ/警察への協力と守秘義務/最大のポイントは片道切符問題/措置入院後の継続支援:目的は治療か、治安か?/地域社会のなかでモニターする/山東議員のGPSをめぐる発言/措置入院はGPSよりはるかに悪質/メディアのアナウンス効果/都市伝説に確証を与えた山本レポート/学会・学界の対応/日本精神科病院協会のコメント/措置入院はカフカの世界/措置入院の濫用を防ぐ/措置入院に日数制限を!/英国(イングランド)の制度と比べて
第七章 この国に生まれたるの不幸
精神保健法制の忘れ物/無用の厳罰より必要な治療をこそ/比較法学・開発法学の必要性/大衆民主主義と刑事政策/森村誠一『悪魔の飽食』のインパクト/医学は有事にあっては濫用される/とりたくなかった精神保健指定医/強制治療は最小限にすべき/刑事政策は精神科医をして医療に専念させる/精神医学界の混乱と学生運動の終焉/左翼系メディアの偏向報道/左翼系メディアの勉強不足/放送禁止用語のようになった保安処分/来るべき法制度/公共の福祉と人権の保障/精神科医に「癒し系」の話だけを求めてもらっても困る/草食系だからこそ、肉食を強いられるのは耐え難い/保安処分反対イデオロギーの終焉/障害者とともに生きる社会のために
おわりに

井原裕[イハラヒロシ]
著・文・その他

内容説明

相模原事件は、知的障害者福祉施設で元・施設職員が入所中の障害者19名を殺害した事件です。同職員が事件4ヵ月前に精神科病院に措置入院していた事実が明らかとなり、この制度のあり方に人々の関心が集まってしまいました。しかし、措置入院は心の健康のための制度であり、犯罪を防止するための制度ではありません。相模原の悲劇を二度と起こさないために、1.地域社会の安全を確保するための警察、2.精神障害者の人権を擁護するための裁判所、3.精神障害者の心の健康に奉仕する精神科医、これら三者が共同するあらたな刑事政策が必要です。本書は、事件の背景を概観し、来るべき制度について考察しました。

目次

第1章 相模原事件と精神医学
第2章 被疑者は精神障害なのか?
第3章 予防拘禁としての措置入院
第4章 世界の精神医学濫用
第5章 反体制運動の延長としての保安処分反対闘争
第6章 相模原事件、そして、事後の検証
第7章 この国に生まれたるの不幸

著者等紹介

井原裕[イハラヒロシ]
1962年鎌倉生まれ。獨協医科大学埼玉医療センターこころの診療科教授。東北大学(医)卒後、自治医科大学大学院(医学博士)、ケンブリッジ大学大学院(PhD)修了。順天堂大学准教授を経て、2008年から現職。日本の大学病院で唯一の「薬に頼らない精神科」を主宰。専門は、精神鑑定、うつ病、発達障害、プラダー・ウィリー症候恐等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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マイケル

2
被害者匿名で裁判が始まったこの事件。本来警察が積極的に関与すべき事案だったのに、精神科医に丸投げしたために事件が起きてしまったとして、措置入院制度の問題を指摘し新法律を提案。犯罪防止は警察の仕事であって医者の仕事ではない、事件発生を精神科医のせいにされても困るとの主張。その通りだと思います。犯行予告していたのに事件を未然に防ぐことが出来なかった原因を追及して対策を取らないとまた同様の事件が起きてしまう。映画「マイノリティ・リポート」や「時計じかけのオレンジ」(「第九」活躍!?)が参考になるかも。2020/01/21

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