内容説明
近藤常次郎は、近代化の渦中にあった明治時代の医師で、森鴎外にも高く評価された。彼はヨーロッパ留学後に発病して以来、自身病臥の人となり、苦闘の中、意志的、自覚的に生き続け、仰臥禅をあみだし、『仰臥三年』(正・続)を上梓した。同時代の子規、紅葉をはじめ、中江兆民、高山樗牛、内村鑑三等と並び、終末期の生き方を広く世に知らせる役割を果たした。その内容はまさに豪気であり、百年を経た今もなお読む者の心に迫るものがある。終末期医療への先駆的提言。
目次
第1章 近藤常次郎という人―その生涯(明治時代の日本の医療;終末期医療と文豪の生と死;近代化のなかの医療と看護)
第2章 「仰臥禅」の世界(枕頭の宝典;同時代人への鎮魂)
第3章 看護制度と看護論をめぐって(明治期における看護制度の沿革;看護論の展開;看病の四大綱と精神看病学;付説 看護の現況について)
第4章 疼痛緩和と麻痺剤をめぐって(疼痛緩和法;麻痺剤の使用と効能;現代の疼痛緩和療法とモルヒネの依存性について;付説)
第5章 病院および医療制度をめぐって(医療および医療制度の歩み―飛鳥時代から江戸時代まで;明治時代の病院および病院制度;森鴎外が伝える世界の病院の歴史と病院制度;近藤常次郎と病院制度;医療保険制度の歩み;社会の変化に伴う改正について;現代の医療改革について)
著者等紹介
小山文雄[コヤマフミオ]
1926年、東京に生れる。1948年、東京高等師範学校(現・筑波大学)卒業。同年より1973年まで神奈川県立湘南高等学校教諭。次いで横浜日野高等学校教頭、野庭高等学校教頭及び校長、藤沢市教育長、神奈川近代文学館参与、大正大学講師などを歴任
五十子敬子[イラコケイコ]
1967年、慶應義塾大学法学部卒業。1997年、大東文化大学大学院法学研究科博士課程修了(博士・法学)。現在、尚美学園大学総合政策学部・同大学院教授、大学院総合政策研究科長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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