精神医療 〈32号〉 羅針盤なき航海

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精神医療 〈32号〉 羅針盤なき航海

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  • サイズ B5判/ページ数 128p
  • 商品コード 9784826503815
  • Cコード C3047

出版社内容情報

今年3月7日、日本精神病院協会の背徳によって成立した「医療観察法」(心神喪失等の状態で重大な犯罪を行った者に対する医療と観察に関する法律)の成立は、戦後57年目にして時代が大きく転換した画期(エポック)を象徴する出来事だ。

「精神障害者」「外国人」「浮浪者」「ホームレス」など社会的逸脱のスティグマ(汚名)を負わされた人々は、市民社会の安全のために、再び指定医制度による強制医療と隔離と収容の世界に幽閉され、共生への道は閉ざされることになる。

常時監視される市民社会は、ますます多くの「精神障害者」をつくり出すほかない。歴史への視座を喪失した市民社会は、常に両極端に揺れ動くことしか知らない。この不確かな時代を生き延びるために何が私たちに問われているのかを明らかにする。

巻頭言/精神科医療―この船はどこへ行くのか?【高木俊介(ウエノ診療所)】

◆第1部/「医療観察法」の成立と精神科医療の現在

戦後の精神科医療の動向―海図下描きの試み【岡田靖雄(精神科医療史研究会)】
日精協の「政治献金」問題について【安原荘一(日本解放社会学会)】
リスク評価パラダイムへの転換―司法精神医学と一般精神医学の包摂【吉岡隆一(京都大学医学部精神医学教室)】

◆第2部/漂流する精神科医療の行方
精神科医療・医学における「予測」の新しい展開【中島 直(多摩あおば病院)】
指定医制度の行方【浜垣誠司(高木神経科医院)】
よく分かる! 初心者のための? 精神科医療チャート/グロッサリー「精神科医療」/精神科医療業界チャート【岡崎伸郎(仙台市精神保健福祉総合センター所長)】

◆コラム・連載
[新連載]精神科医療の事件ファイル 第1回~箕面ヶ丘病院事件―31年間、止まっていた時計【原 昌平(読売新聞大阪本社科学部)】
引き抜きにくい釘【塚本千秋(岡山大学教育学部)】
老いのたわごと 第20回~重症分裂病を生ききったある女の一生 【浜田晋(浜田クリニック)】
往診 東奔西走記

 この2003年7月、「心神喪失者医療観察法」が成立した。この法律の問題点、成立過程における精神科医療界の動きについては、本特集でそれぞれの論者によって十分に述べられたと思う。それにしても、この法律はその内実はまごうかたなき保安処分であるにもかかわらず、精神科医療界、法曹界を含めて社会の反応はあまりにも醒めていた。

 この法律の成立は、9・11事件以来露骨なほどに明らかになった先進諸国のセキュリティ最優先という風潮のひとつと見ることができる。テロリズム対策から単なる喧嘩騒ぎに至るまで、監視カメラが生活の隅々まで張り巡らされていることに慣らされた社会、そこではどんな小さな逸脱についても、その責任が追及され誰かが管理を担う者として譴責されずにはおかない。「精神障害者」「外国人」「浮浪者」など逸脱のスティグマを負わされるカテゴリーがつくられ、市民生活のセキュリティを確保するという誰にとっても逆らいにくい名目で、彼らを管理する責任を誰かが負わされる。人の行動について公的な「予測」が可能であるとすることは、管理社会を強化する究極の根拠となるだろう。この法律がつくる新たな体制によって精神科医療は今後、精神障害者に対するその

好評、『精神医療』の32号です。