出版社内容情報
今日急増する院内福祉施設は、肥大した隔離収容政策の温存策でしかない。10万人を越える、「社会的入院」という名で長く病院に囲い込まれる人々にとっての、生きる尊厳とは？ 私たちは生命の尊厳を貶めているあらゆる状況や、狂信、ドグマ、不寛容と闘わねばならない。人間を手段としてしまい、一人ひとりの尊厳を軽んじてしまう精神医療の流れに目をこらして、時代と、人間の行く末を見据えていなければならない。
［座談会・『それでも人生にイエスという』ために～人間の尊厳と生きがい］生瀬克己＋黒川洋治＋吉田貴子＋藤澤敏雄〈司会〉／［巻頭言］いま、なぜ人間の尊厳を問うか（藤澤敏雄）／『心のケア』の裏側に潜むもの（大下隆司）／人間の尊厳と自然治癒力 ～二組の目で見る精神医療（三橋良子）／他人を救うよりまず自分を救え（駒井洋子）／精神病院と人間の尊厳～精神病者が病院で一生を送らずにすむ社会を作ろう（黒川洋治）／ケアマネジメントのシステム化に想うこと（近澤範子）／作業療法の盛衰に映る精神障害者の尊厳（山根寛）／人間の尊厳･魂･自然治癒力（森山公夫）
［連載］［「誤審」および「誤診」の構造～都立松沢病院D-40棟事件について1］藤澤敏雄／［老いのたわごと8］（浜田晋）／［往診・奔西走記6］「病」を「生きる」～尊厳“死ぬときが私の最高のときです”（和迩秀浩）／［開業日記12］（生村吾郎）／［書評］八木剛平、田辺英著『精神病治療の開発思想史～ネオヒポクラティズムの系譜』浅野弘毅／［寄稿］精神科医療における空間性と時間性～「自主管理」病棟におけるＭ君と私（富田三樹生）
