出版社内容情報
チョムスキーが1989年から1999年にかけて参加した政治的な集会での聴衆との対話を編集した本。チョムスキーの心のうちがこれほど率直に語られた本はほかにない。
目次
第1章 週末のティーチ・イン―はじめのセッション
第2章 ティーチ・イン―コーヒーを飲みながら
第3章 夕べのティーチ・イン
第4章 対話
第5章 世界を支配するもの
第6章 コミュニティ活動家
第7章 知識人と社会の変化
第8章 市民運動
第9章 組織活動
第10章 転機
著者等紹介
チョムスキー,ノーム[チョムスキー,ノーム][Chomsky,Noam]
アメリカ人言語学者。ベトナム反戦運動に関わり、それ以降アメリカの外交政策、湾岸戦争、9・11後の「テロとの戦争」などに対して民主主義の立場から厳しい批判を続けてきた。1928年フィラデルフィア近郊で生まれ、MIT(マサチューセッツ工科大学)で長く教鞭をとってきた
田中美佳子[タナカミカコ]
1967年生まれ。イギリス系の通信社を経て1999年に渡米。2003年よりマサチューセッツ州在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yooou
4
☆☆☆☆☆ 1989年以降チョムスキーが対話を行ったものから編集されたものだ。この時点で彼が見通していた未来に今触れるとその冷徹なまでの予測の正確さがありありとわかる。国民のための施策を展開しようとすると投資資本が引き上げられるのだ。現在進行している米国債の格下げと株価の下落は正にそれを現実のものにしている。2011/08/24
脳疣沼
3
700ページ近くも、いつものチョムスキー 節を堪能できます。これだけ読めば、チョムスキー の政治思想は大抵分かる。また弱点も。事実が大切だと言いながら、権力者は大衆を騙すという偏見とらわれ過ぎて、真実を見抜けなかったりする。しかしまあ、チョムスキー が日本の右翼にも人気がある理由は分かった。2018/07/07
roughfractus02
1
2001年の9.11に関する編集者の序文の後に1989-1999年のチョムスキーが市民と行った10回のティーチ・インが収められる。だが、その質疑応答が9.11後のようにも思えるのは、彼が影響を受けた社会民主主義者G・オーウェルが書いた『1984年』の世界が21世紀の現代に浸透しているからだろう(「オーウェルの世界と私たちの世界」)。冷戦後の世界を身の丈で生きる人々の質問や批判と、それに答えるより実践へと促そうとするチョムスキーとの対話は、前例のない事態に面していることを感知する読む者の現在をも触発する。2017/05/11