格差の世界経済史

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  • サイズ A5判/ページ数 517p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784822250904
  • NDC分類 361.8
  • Cコード C2033

出版社内容情報

原題を直訳すると、「子孫はふたたび繁栄する」。つまり、豊かな社会階級に生まれた人間はそうでない人間よりも豊かになる。それは「機会の平等」を建国の理念にしたアメリカでも同様だ。
アメリカとは対極にあるスウェーデン、中世イングランド、近現代のイギリス、インド、中国、日本・韓国も同様ーー。

 前著『10万年の世界経済史』では、産業革命がイギリスで最初に起きた謎に挑んだクラーク。本書では、姓名を軸に世界各国の歴史データを分析し、どの国でも支配階級と下層階級の名前はあまり変化がない、
つまり「格差」は維持されてきたとの結論を導き出した。
 明治維新で社会層が入れ替わったといわれる日本、共産主義革命で上層階級が放逐されたと言われる中国でも、医者・弁護士などの名簿に記載された名前にほとんど変化はなく、「社会階層はほぼ固定化している」との結論が出た。

 人種の坩堝アメリカは「チャンスの国」と言われ、アメリカ人自身もそう信じてきた。ところが、医者・弁護士などの名簿にアフリカ系黒人の名前は依然として少なく、ユダヤ系や日系などが人口比で多い傾向は変わっていない。

ピケティのr(資本収益率)>g(経済成長率)が格差の不等式だが、クラークの社会的流動性の公式は
     Xt+1=bXt + et
  
 つまり、ある家族の第t+1世代は、親世代である第t世代の基盤的な社会的能力に継続率bを掛けたものとランダム成分et の和である。

 名前という馴染みのあるものを手がかりに、社会の流動性の乏しさを導き出す手法は、推理小説的興奮を誘う。前著『10万年の世界経済史』の原題は、FAREWELL TO ALMSだった。
これはヘミングウェイ『武器よさらば』(FAREWELL TO ARMS)のもじり。本書も『陽はまた昇る』(THE SUN ALSO RISES)のもじり。

第1章 支配階級と下層階級に関する序論ーー社会的流動性の法則 
第1部 時代別・国別に見た社会的流動性 
第2章 スウェーデンーー高い社会的流動性が達成された国? 
第3章 米国ーーチャンスの国 
第4章 中世イングランドーー封建時代の社会的流動性 
第5章 近現代の英国ーー現状のルーツを深く探る 
第6章 社会的流動性の法則 
第7章 生来の能力か生育環境か 
第2部 社会的流動性の法則を検証する 
第8章 インドーーカースト制や同一集団内での結婚と社会的流動性の関係 
第9章 中国と台湾ーー毛沢東時代後の社会的流動性 
第10章 日本と韓国ーー社会の同質性と流動性 
第11章 チリーーオリガーキー(寡頭制支配者)間での流動性 
第12章 社会的流動性の法則と家族のダイナミクス 
第13章 プロテスタント、ユダヤ人、漂白民、イスラム教徒、コプト人ーー社会的流動性の法則の例外? 
第14章 社会的流動性の法則の例外 
第3部 良き社会 第15章 社会的流動性は低すぎるのかーー流動性と格差 
第16章 下向きの社会的流動性からの脱出

【著者紹介】
カリフォルニア大学デービス校経済学部教授。1957年生まれ。1985年ハーバード大学大学院でph.D取得。英国・インドの経済史と長期にわたる経済成長を研究。著書に『10万年の世界経済史 上・下』(日経BP社)。

内容説明

「1人ひとりの人生のチャンスは、親の地位からだけでなく、“曾祖父母の祖父母”の地位からも予測できる」米国もスウェーデンも日本も中国も、案外、「平等化」より「世襲化」社会である!姓に着目した異色の歴史研究。

目次

支配階級と下層階級に関する序論―社会的流動性の法則
第1部 時代別・国別に見た社会的流動性(スウェーデン―高い社会的流動性が達成された国?;米国―チャンスの国;中世イングランド―封建時代の社会的流動性;近現代の英国―現状のルーツを深く探る;社会的流動性の法則;生来の能力か生育環境か)
第2部 社会的流動性の法則を検証する(インド―カースト制や同一集団内での結婚と社会的流動性の関係;中国と台湾―毛沢東時代後の社会的流動性;日本と韓国―社会の同質性と流動性;チリ―オリガーキー(寡頭制支配者)の間での流動性
社会的流動性の法則と家族のダイナミクス
プロテスタント、ユダヤ人、漂泊民、イスラム教徒、コプト人―社会的流動性の法則の例外?
社会的流動性の法則の例外)
第3部 良き社会(社会的流動性は低すぎるのか―流動性と格差;下向きの社会的流動性からの脱出)

著者等紹介

クラーク,グレゴリー[クラーク,グレゴリー] [Clark,Gregory]
カリフォルニア大学デービス校経済学部教授。1957年生まれ。1985年ハーバード大学大学院でPh.D取得。英国・インドの経済史と長期にわたる経済成長を研究

久保恵美子[クボエミコ]
翻訳家。東京大学経済学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

115
このような分析の仕方があるとは思いもみませんでした。富裕層と貧しい底辺にいる人々の生命は昔からほとんど変わっていないということなのです。このようなことがあるとはあまり感じていませんでした。社会が変革してもしの傾向は変わらないそうです。一つの試案として読みましたが、世界各国をかなり分析しています。日本や韓国は似ているようです。本の体裁の感想になりますがもう少し薄くコンパクトにしてくれればと感じました(紙の質を変えれば可能では)。2016/01/27

脳疣沼

5
日本についても詳しい分析がある。1億総中流とか、そういう言葉で覆い隠されてるものがあるらしい。一般的にも、確かに、出会いの観点から言って、同じ階層、職業同士結婚することが多いのだから、階層が固定される方が自然か。自然法則みたいなものだと。あとユダヤ人はなぜ成功者が多いのかという話も興味深い。2015/06/21

takao

2
姓の変化でたどる2017/12/29

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