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ドイツ中興の祖ゲアハルト・シュレーダー

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  • サイズ B6判/ページ数 272p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784822250089
  • NDC分類 312.34
  • Cコード C2033

出版社内容情報

本書は、ユーロ危機に揺れ続けるヨーロッパの中で独り絶好調のドイツの秘密を解き明かす。

2003年3月14日、ドイツ連邦議会の本会議場でゲアハルト・シュレーダー首相が演説した。
「我々は、(社会保険制度による)国家のサービスを減らさなくてはならない。そして、市民が今よりも自分について責任を持つことを奨励し、1人1人の自己負担を高めなければならない」

 この演説がドイツの停滞を打ち破る号砲となった。戦後最大の構造改革プログラム「アゲンダ2010」は、雇用市場と失業保険制度の改革、公的年金制度の改革、公的健康保険制度の改革、賃金協定の柔軟化、減税の5つの柱を掲げた。

 社会民主党の支持基盤である労働組合の既得権益を削る大改革は、10年後のメルケル時代に実を結び、ドイツ経済は復活した。ユーロ危機の最中でも、ドイツ経済だけは独り勝ちだった。
 だが、シュレーダー政権は改革を実行したがゆえに選挙で大敗し、シュレーダー自身は政界引退に追い込まれた。身を捨てて大改革を実行した「ドイツ中興の祖」シュレーダーの改革のプロセスを丹念に追った。

 著者はNHKの記者を辞め、ドイツ・ミュンヘンに20年以上住んでいるジャーナリスト。前著『なぜメルケルは「転向」したのか』では、原発・エネルギーをめぐるにドイツの長い「熟議」を描いた。本書は、ドイツ復活の秘密を解き明かす。

第1章 戦後最大の社会保障改革 
第2章 極貧家庭から首相に 
第3章「欧州の病人」ドイツ 
第4章「アゲンダ2010」はドイツをどう変えたか 
第5章 「欧州の病人」が、「欧州の機関車」に 
第6章労働コストの抑制 
第7章「アゲンダ2010」の光と影 
第8章 シュレーダーの黄昏 
第9章 国論を二分する「アゲンダ2010」第10章ドイツ人と社会市場経済 
第11章 日本とドイツ

【著者紹介】
ミュンヘン在住ジャーナリスト。1959年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン支局時代にベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材。90年からフリー。著書に『なぜメルケルは「転向」したのか』(日経BP)、『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』(高文研)、『あっぱれ技術大国ドイツ』(新潮社)など。

内容説明

10年後に実を結んだ「労働コスト」削減。「嫌われても、実行あるのみ」改革をやり遂げ、その挙句、政界を「追放」された男の物語。

目次

第1章 社会保障を削った男
第2章 どん底に転落したドイツ
第3章 フォルクスワーゲン取締役ペーター・ハルツ
第4章 ドイツ経済、再浮上
第5章 改革が深刻化させたワーキングプア問題
第6章 政治家シュレーダーの実像
第7章 社会的市場経済という思想

著者等紹介

熊谷徹[クマガイトオル]
1959年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、NHKに入局。ワシントン支局勤務中に、ベルリンの壁崩壊、米ソ首脳会談などを取材。90年からフリージャーナリストとしてドイツ・ミュンヘン市に在住。ユーロ危機、欧州の政治経済、安全保障問題などをテーマに執筆している。著書に『ドイツは過去とどう向き合ってきたか』(高文研、2007年度平和・協同ジャーナリズム奨励賞受賞作)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

14
コール首相のあとをついで、SPDから首相になり、皆から反対された改革をやり遂げ、任期途中でやめざるを得なかった人物の足跡を描いた作品です。筆者は日本のマスコミ出身ですがこの20年近くはドイツに在住しているのでよく事情を分かっているようです。ただこの改革がなかったら今のドイツはなかったということです。日本の場合は徹底しないので、小泉首相や野田首相は今でも生きながらえているのでしょうがこの本を読むと身を犠牲にして国を考えるという本当の政治家を見る思いがします。2014/07/29

スズツキ

2
これは面白かった。壮絶な幼少期から首相まで上り詰めたシュレーダーが行った「アゲンダ2010」は弱者切り捨てと呼ばれた。徹底的に社会保障費を削減したその政策は貧困層への痛い鞭となったが、同時に今までのドイツの暗部であった過剰保護ともとれるぬるま湯体制打破につながった。近年メルケルが絶大な支持を集めるが、その基盤を作ったのはシュレーダーであったと説く著者は今後の日本の進路を憂いているが、はたして。2015/03/01

Hiroyuki Okumura

0
社長のような首相か2016/04/10

Möve

0
中興の祖と呼ばれた意味が、彼の生い立ちから解りやすく読めた。EUの他の諸国だけでなく、今の日本がドイツに学ぶべき事はなんだろう。シュレーダーが行った上からの経済クーデターの明と暗。低所得者を増やした暗の部分は有っても、解雇を避けて外国企業に頭脳流出しない事を目的とした労働コスト引き下げの大胆な政策は、素晴らしい事だったと思う。2015/09/02

きょろすけ

0
ドイツ語やドイツものの音楽を聴くようになって、そういえばシュレーダーさんって何してたんだっけ?と思った時にたまたま手にした本。シュレーダー氏の貧しかった子供時代、嫌われながらも社会保障を改革した政治家時代、今まで知らなかったドイツの企業と労働者の関係を熊谷氏の判りやすい文章で知ることができた。思っていた以上に得るものがあった一冊だった2014/08/19

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