内容説明
新たな冷戦像を提示。分裂と対立のやまない中東の政治情勢や、産油国と石油産業の抵抗を前に、アメリカの「同盟プロジェクト」はその限界を露呈していく。挫折と迷走を経て、米国の政策決定者たちはどのように舵を切ったのか。今日にまでつながる歴史の転換を精緻に描き、現代史を書き換える画期的労作。
目次
第3部 西側統合政策の変容と崩壊(エジプト・ソ連武器取引の衝撃;西側統合政策の変質―オメガ・メモランダムとスエズ危機;西側統合政策の行き詰まりと崩壊―アイゼンハワー・ドクトリンからシリア危機へ;地域的政策の空位時代;オフショア・バランシング政策への移行)
第4部 協調的石油秩序の黄昏(協調的石油秩序の限界;新たな中東石油政策の生成;産油国・消費国関係の質的変容)
著者等紹介
小野沢透[オノザワトオル]
1968年青森県八戸市に生まれる。1987年青森県立八戸高等学校卒業。1991年京都大学文学部史学科卒業。1995年京都大学大学院文学研究科博士後期課程退学。岩手大学人文社会科学部講師、ジョージタウン大学客員研究員(文部科学省在外研究員)等を経て、京都大学大学院文学研究科准教授(現代史学専修)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
歴史を扱う学術研究では、一次史料に即して緻密な議論を積み上げるプロセスを通じ最終的に大きな歴史像を紡ぎ出すのが基本かと思われる。本書はそこを徹底的に突き詰めた印象がある。膨大な一次史料にアクセスする環境は昔に比べれば向上したのだろうが、そこから歴史的な流れを丹念に辿りながら大枠の議論を構築する術は、訓練を積んだ研究者の力が発揮されるところであろう。◇1950年代、グローバルな覇権の頂点にあった米国がいかに中東から弾き出されたか、そこにいたるまでの過程が克明に記された圧巻の作品であった。2019/09/07
高井怜
0
西側統合政策の結末とアメリカの実は稚拙な外交政策が描かれている。なぜ中東政策がこれほどこじれるのかをオタク的に知りたい人にとっては必読の書である。ちなみ『幻の同盟』というタイトルからか執事喫茶でこの本を読んでいると執事達から興味津々で「何の本か?」という質問をよく受ける。2022/02/17
陽香
0
201602272018/08/05