出版社内容情報
第54回日経・経済図書文化賞受賞
内容説明
新卒就職・終身雇用を常識としてきた「就社」社会・日本。製造業大企業労働者のキャリアと雇用関係の変遷を辿り、新規学卒市場の制度化過程を検討することで、その成り立ちを解明する。学生の就職活動のあり方が問い直され日本的雇用慣行が終焉を迎えつつあるかにみえる今、必読の書。
目次
第1章 歴史的前提―産業化と人材形成(大工場労働者と熟練形成;職員層の形成)
第2章 「制度化」の起源―戦間期の企業・学校とホワイトカラー市場(新規学卒採用の「制度化」;学校による就職斡旋とその論理)
第3章 「日本的」企業システムの形成―戦争と占領下の構造変化(「日本的」雇用関係の形成―就業規則・賃金・「従業員」;「企業民主化」―財界革新派の企業システム改革構想)
第4章 「企業封鎖的」労働市場の実態―高度成長前夜の大工場労働者と労働市場
第5章 「間断のない移動」のシステム―戦後新規学卒市場の制度化過程(中卒就職の制度化―職業安定行政の展開と広域紹介;中卒から高卒へ―定期採用システムの確立)
著者等紹介
菅山真次[スガヤマシンジ]
1957年生。1989年、東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得退学。現在、東北学院大学経営学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
3
14 貴重本 製造業大企業労働者のキャリアと雇用関係の変遷を辿り、新規学卒市場の制度化過程を検討することで、「就社」社会・日本の成り立ちを解明する。日本的雇用慣行が終焉を向かえつつあるかに見える今、必読の書。 2011/04/10
kuro_23
1
日本の雇用、特に新規学卒者の採用に関して明治時代から連綿と続く制度であるということを豊富な実証データによって論証した本。副題にあるように、「ホワイトカラーからブルーカラーへ」かかる雇用制度が広まっていったのはなぜかということを明らかにしている。こうした伝統を無視して「自由」のみをベースに労働市場の改革を目指すことに対する危惧もおそらくは本書の背景にあるものと思われる。いろいろと参考になったので、また読み直してみよう。2011/12/05
ミッキー
0
新卒一括採用が始まったのが、技術者の供給者として大学が主導権を持っていたところにあると説くあたりは、なるほどと頷きました。2012/03/31
kozawa
0
タイトル通りで、戦後日本の典型例と扱って多分よいと思われる製造業大企業労働者像中心に学歴やキャリア等を詳細に検討していて、20世紀後半型日本の企業システムの形成を見るのに非常にしっかりしている。今後について本書がそんなに提示してくれるわけではないけれど、今後を見る上でも本書のような前提は見ておく価値はあるのでは。2011/07/16