迷走する両立支援―いま、子どもをもって働くということ

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迷走する両立支援―いま、子どもをもって働くということ

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  • サイズ B6判/ページ数 301p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784811807201
  • NDC分類 366.38
  • Cコード C0036

出版社内容情報

格差と少子化。共働き家庭の増加。「家庭と仕事の両立支援」の掛け声とは裏腹に、仕事と子育ての狭間で苦悩する30~40代の女性たち。「両立支援」とは、誰のための、何のためのものなのか。日本とアメリカの職場の実態、制度のありようを描きだす。

はじめに

I 部 彼女たちのいるところ

第1章 育児休業、その後──退職へと誘われる母親

「この疲れは、なんなのでしょうか」/彼女たちがいるところ/「私はわがままなんでしょうか」/氷河期世代の疑問/「こんな生活、意味あるんですか」/ワーキングマザーとよばれて/「育児が退職理由ではないんです」/退職理由にこめられたもの/「戻ってきても仕事はない」/育児休業法はなにを守ってくれるのか/「私と彼女たちの違いは、なんなのでしょう」/彼女たちの行きつくところ

第2章 夫と妻と子育てと──ジレンマの在りか

「夫はなにをひきうけてくれるんでしょうか」/やさしさと愛情の代償/夫の転勤/「いやだとは言えなかった」/夫の単身赴任が妻につきつけるもの/「夫の背中を見送りながら、ずるいと思う」/夫の「育児」、妻の「育児」/夫婦がむきあうということ/子どものいる暮らしへの助走/「母親は家に」というお約束/家事・育児をしない夫が失うもの

第3章 働く親は「市民」になれるか──親のニーズと保育所再編

「住民って、だれのこと?」/進む保育再編計画──広島県府中市/なにも知らない親たち/加速する保育民営化の陰で/届かない「住民」の声/親の「ニーズ」の正体/年度途中の民間委託──東京都練馬区/「なんのための話しあいだったんだ」/子どもとの時間を返してほしい/だれのための住民参加?

II 部 アメリカの模索

第4章 「両立支援」とはなにか──経営戦略、多様な家族観、性差別禁止

「企業として当然のこと」──ファニー・メイ/経営というボトムライン/「企業間競争に勝ちぬく」──インテルの挑戦/三つのダイナミズム/家族の多様化と母親への着目/経営上のメリットという観点/ワーク・ライフ? それともワーク・ファミリー?/バランス・モデル""を超える──家庭と仕事をとらえるあらたな枠組み/なおも残る疑問/「モデル雇用者」としての国/性差別禁止──国による強い規制と職場改革

第5章 ワーク・ライフ・バランス──アメリカの光と影

「彼女は別格」/『窒息するオフィス』の世界とワーク・ライフ/働く親へのプレッシャー/あらたなサービスと消費のサイクル/タイム・インダストリー──時間を買う/つぎはぎの保育システム/選べない保育/ふくれあがる待機児童/
矛盾の連鎖──キャリア女性と外国人ナニー/保育者の挑戦をはばむもの/保育者の労働条件がうみだす悪循環/効率と生産性への対抗──公共バス運転手の闘い/「ワーク・ライフを私たちの手に」──労組SEIU/「底辺に目をむけろ」──労働運動再編のなかで/企業と労組の連携──育児・介護基金の発足/子どもに保育を──警察官の訴え/逆風と連携と──全米初のFMLA有給化

III 部 両立のゆくえ

第6章 すれちがう両立支援──少子化と男女共同参画と

いらだつ母親たち/育児休業取得率と残業と/わが社は「ファミリー・フレンドリー」/「両立支援」と「女性活用」はどんな関係にあるか/二つの取り組み、二つの評価/育児休業を利用できる企業と、管理職になれる企業と/諸外国の両立支援のルール──前提としての性差別禁止/弱い、国の規制──住友男女差別訴訟から/間接差別──進まない均等待遇のルールづくり/
少子化対策としての両立支援/異なる対応──次世代育成行動計画とポジティブ・アクション/「産む」「働く」──まなざしの落差/ルールなき両立支援──ワーク・ライフの読みかえ

第7章 子どもをもち、働くということ──沈黙と格差を超えて

「迷惑をかけない」ワーキングマザーとして/職場はなぜ沈黙するのか/「いまごろなにしにきたの」──人事担当者の悩み/「仕事優先の職場風土」は、だれがつくりだしているのか/男性の育児休業取得への期待と女性の憂鬱/取得期間の男女間格差がうみだすひずみ/育休を取得しなければ、子どもがかわいそう?/両立支援へのアクセス格差/「おたがいさま」にはならない職場の構造/労働時間の規制緩和は、働く親への朗報か/狭い「家族的責任」のとらえかた──育児と介護/拡散する「家族的責任」──ライフスタイルの問題として/少子化対策の「家族的責任」の射程/ニーズだけでは解決できない/両立を問う、社会を問う

結びにかえて""

内容説明

仕事にうちこみ、生活とよべるだけの経済的基盤をもち、子どもや家族との時間を大切にする。ただこれだけの暮らしが、なぜこんなにも遠いのか。「家庭と仕事の両立支援」とは、誰のための、何のためのものなのか。ワーク・ライフ・バランスのゆくえ。

目次

1 彼女たちのいるところ(育児休業、その後―退職へと誘われる母親;夫と妻と子育てと―ジレンマの在りか;働く親は「市民」になれるか―親のニーズと保育所再編)
2 アメリカの模索(「両立支援」とはなにか―経営戦略、多様な家族観、性差別禁止;ワーク・ライフ・バランス―アメリカの光と影)
3 両立のゆくえ(すれちがう両立支援―少子化と男女共同参画と;子どもをもち、働くということ―沈黙と格差を超えて)

著者等紹介

萩原久美子[ハギワラクミコ]
1989年、読売新聞大阪本社入社。京都総局・社会部・生活情報部を経て、2003年よりフリー。2000年~2001年、フルブライト・ジャーナリスト・プログラムにより、労働・児童福祉を中心に家庭と仕事の両立をテーマに渡米、UCバークレー客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

azuazu1011

3
目次を読むだけで疲れる、厳しい現実を突きつけられる本。復職前にこの本を読んでおいてよかった。育児休業あけに待ち受ける事柄に、ある程度、心の準備ができた気がする。しかも長期的な視点を持つことの大切さも実感。ほんとに長い長い戦いがあって、ここまで多くの人達が両立で悩み、それでもまたまだという事実。ツライ。でもきっと、答えはなくても、続けていくことに意味があるんだろうと思う。まずは目の前のことからかなぁ。みんながもがきながら歩んできた、それが道となって、今につながっているわけだから。2012/01/31

Lucie1104

3
読んでて辛くなるという前評判通りw私自身子供を持つ会社員として、色んな面でしんどさを感じていて、この本に登場する女性達に多いに共感した。一見理想的に見えるアメリカの状況も、優秀でない、成果の出せない人材は、恩恵が受けられず、このまま日本が目指すべきとも思えず、読んでいると先の見えなさにがっくりする。でも今は過渡期であって、娘が大人になる頃には両立が普通な社会になって欲しいと切に願う。というか、微力でもそのために私も動かなければならないのではないか、というようなことも感じた。個人的には、物事悪い面ばかり見な2012/01/07

ジュリアンヌ

2
暗くなる。男性は仕事時間が短くても家事育児に参加しないというデータがある。女性に限らず、そもそもの雇用条件や労働条件を見直す必要性を感じる。2017/02/01

なーり

2
この閉塞感はたぶん50代より上の人には伝わりづらい。「子どもが小さいうちは無理して働かなくてもいいじゃない」「旦那さんがいるのに働かなくても」そう言われて口をつぐむしかない悔しさを、どうしたら伝わるのか考え続けていきたい。2013/04/14

ブルーベリー

2
2年前に #WLB_cafe で話題になった本。丁寧な取材と詳細なデータで綴られていて読み応えのある貴重な1冊。いつの時代もはたらく母は悩んだ来たことも、あとがきにあたる「結びにかえて」からかいま見ることができる。出版から6年が経過した今も、現状が大きく変わったとは思えないかもしれない。しかし、水面下にムーブメントが来ていると信じたい、祈りたい気持ちになる。母が「はたらく」こと。それは50年前のように特別なことではないのだから。2013/01/23

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