内容説明
本は読まない。学問は嫌い。しかし見込んだ作家には打算なく心を尽くす。創業した筑摩書房をたった十年で名門出版社に押し上げ文化に、人間に、献身的な愛情を注いだ、ある男の物語。
目次
第1章 教育県のDNA
第2章 筑摩書房創業
第3章 日本一の本屋を
第4章 戦後の解放感の中で
第5章 乱酔と断酒の狭間
第6章 『現日』ホーマーで甦る
第7章 見事な進退
第8章 酔生夢死の願い
第9章 突如の死
著者等紹介
塩澤実信[シオザワミノブ]
1930年長野県生まれ。日本ペンクラブ、日本出版学会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
27
教育県長野県。向学心、読書好き、理屈をこねる(009頁)。長野県下の教師は、個人で本を購い、読み、蔵書を充実させることを誇りにする風潮があった。一廉(ひとかど)の人物は相応の読書量と蔵書を誇っていた(012頁)。岩波茂雄は言下に、「外から見ているのと、内にはいってやってみるとでは大違いだ。どんな商売でもそうだと思うが、出版はたいへんなもんだ!」(038頁)御意、至言。この発言は多くの業界にも応用できる真実だと思う。千曲書房と思っていたようだが、筑摩書房としたのは、妻あやの助言だったという(044頁)。2016/04/07