内容説明
自然環境全体のバランスを崩す存在としてのシカ。「保護」から「管理」へシフトするヨーロッパ諸国の政策を参照しながら、日本の森林再生を考える。
目次
1 広がるシカの食害と自然環境問題(驚きのニホンジカ食害;なぜシカは増えたのか;シカの生息環境と森林;全国のシカ問題の動向;新たな自然保護問題)
2 四国山地の自然林とシカ問題(四国山地の特徴と剣山・三嶺のシカの生態;剣山におけるシカ食害問題;深刻な三嶺山域の樹木被害実態 ほか)
3 ヨーロッパと日本のシカ対策(ヨーロッパにおけるシカ類の管理の仕組み;日本のシカ対策―保護管理の現状と課題;展望、どこまで自然を守れるか?)
著者等紹介
依光良三[ヨリミツリョウゾウ]
1942年高知県生まれ。67年京都大学大学院農学研究科修士課程修了。(財)林政総合調査研究所研究員、高知大学教授を経て、高知大学名誉教授、三嶺の森をまもるみんなの会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Noboru
1
鹿の獣害の深刻さに唖然となります。人間の都合で狼を絶滅させ、人も狩りをしなくなり、爆発的に増える鹿。山の植生を破壊し、山間地の保水力を低下させ、流れ出した土砂によりダムは早期に用をなさなくなり、土砂崩れの頻度も増加。当然、ダムや斜面の保全に国費が投入され、税金に跳ね返る。栄養価が低く、砂混じりの河川水により、海産物にも深刻な影響を与える。人間の都合により生み出された結果ですが、国土保全の観点から、国家的取り組みの必要性を感じます。鹿狩りの奨励と、狼の再導入の必要性についても考えさせられます。2014/01/01