出版社内容情報
人口減少、超高齢化、経済の衰退に直面する日本が参考にするのは、質素でも、ビンボー臭くない、キューバの「没落力」だ!
明治維新以来、「坂の上の雲」を目指して登り続け、世界第2位の経済大国と1億総中流を達成した日本は、いまや米国に次ぐ世界第2位の「貧困大国」だ。食品偽装、国土荒廃、医療崩壊、学力低下、派遣労働者の大量失業・・・。どこを見渡しても、希望のカケラすら見えない。だが、経済成長は豊かさとは直結しないし、モノの豊かさは幸せとも違う。
有機農業で100%自給。高い教育水準と豊かな文化、助け合う地域住民、何よりも大切にされる子どもたち、あくせく働かなくても不安なきフリーター生活。次々と訪れる外国人たちが口をそろえて「モノは貧しくてもこの国には貧困がない。生まれ変わるのであれば、この国の庶民に」とまで賞賛したのは、キューバではなく、150年前のニッポンだった。
まもなく人類はピーク・オイルを迎える。大量の石油消費を前提とした経済成長もトリクルダウンも、もはやない。となれば、求められるのは、血を流しての資源争奪戦ではなく、モノに頼らずに幸せに暮らすためのノウハウ、いわば「没落力」だ。しかし、成長のための提言はあっても、安全な没落のためのマニュアルはない。となれば、すでに超低空飛行をしている「没落先進国」にヒントを求めるしかないだろう。
3世代詰め込みのウサギ小屋、低迷する食糧自給率、慢性的なモノ不足と後を絶たない亡命。キューバは、お世辞にも格差なき有機の楽園とはいえない。だが、家が雨漏りはしてもホームレスはただ一人としていない。竹を利用してエコ住宅を建て、農村では農民たちが種子を交換しあって自給に励む。度重なる巨大ハリケーン来襲にもほとんど死傷者を出さない防災対策と、文化豊かな国づくりをキーワードに、首都ハバナは数世紀前の景観を復元した歴史博物館となった。
都市農業、環境、医療、教育と、キューバの先進優良事例を描いてきたキューバ・リポートの第5弾は、江戸期の日本を参照しつつ、キューバのマイナス面に光をあてて日本を逆照射する。モノは貧しくても貧困なきキューバは、人びとが尊厳を持って生きられる国へと日本が優雅に没落していくための指針となるだろう。
内容説明
人口減少、超高齢化、経済の衰退に直面する日本が参考にするのは、質素でも、ビンボー臭くない、キューバの「没落力」だ。
目次
1 超低空飛行の勧め(太平洋と大西洋の二つの島の奇妙なシンクロ;地球環境の制約内で暮らす;キューバは地上の楽園なのか)
2 雨風を凌ぐ住まいを作る(オンボロ住宅屋上活用法;コミュニティの建築家;エコ資材で家を建てる;街づくり運動で蘇るスラム)
3 餓死しないために飯を確保する(高い食費と乱れる食生活;荒れる農地とお役人農政;地元農業化井核プログラムで変わる農村;農民参加型の品種改良)
4 国民参加で安全・安心社会を実現する(ハリケーンで死傷者が出ない国;皆で築きあげる安全の文化;地元学を生かす安心社会)
5 お金やモノよりも文化を大切にする国(子どもたちは幸せになるために生まれてくる;民衆教育と参加型の政治改革;芸ジュt文化を大切にした国づくり)
著者等紹介
吉田太郎[ヨシダタロウ]
1961年東京生まれ。筑波大学自然学類卒業。同学大学院地球科学研究科中退。東京都を経て、現在、長野県農業大学校勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
Carlos
mochizo
s2013253
アンゴ