出版社内容情報
日本の代表的な火山の成り立ち、地形、地質などを、実際に歩いて知るコース設定と解説。ハイカー・温泉マニアから防災関係者まで、幅広く使えるフィールドガイド。
★朝日新聞読書欄「知りたい読みたい」欄(2000年4月16日)=全国を五つの地域に分け、それぞれの代表的な火山を個別に解説している。コンパクトな装丁で、火山観光やハイキングのガイドとしても使える。
★熊本日日新聞評(1999年3月29日)=地質観察や防災からハイキング、温泉めぐりまで、フィールドガイドとして幅広く役立つ一冊。
★山と渓谷評(1998年10月号)=裏山にある活火山も、いつかは必ず噴火するという現実を認識し、火山をよく知るために書かれた本。それぞれの地形や火山活動史、地質観察に適した時期やポイントなどが紹介されている。
★教育新聞評(1998年9月20日)=「火山の種類」「年代測定法」「広域テフラ」などの火山用語も、囲みで解説されており、用語解説も詳しい。
●「はじめに」より=志賀直哉の小説『城の崎にて』で有名な城崎温泉の西方には、神鍋山などの小規模な火山からなる単成火山群が分布しています。
中国地方では、大型から中型の複成火山としては、中国地方の最高峰大山、山陰で最新の噴火記録をもつ三瓶、それに大江高山などがあるだけで、あとは鳥取・島根・山口の3県にわたって、小型の単成火山が散在しているのみです。近畿・中国地方に多い小型の単成火山は、植生におおわれてしまうと、通常の小丘と一見区別がつきません。この地域に火山が少ないという印象をもつのは、そのことも関係しているかもしれません。
以上の地域において、歴史時代に噴火した活動的火山が少ないことは確かに事実です。とはいえ、数千年の静穏期を経て1979年に突如として水蒸気爆発をおこした御嶽火山の例でもわかるように、現在では一見まったく静かな火山であっても、決して完全に死に絶えてしまってはいないのです。したがって、長い眠りから覚めて、いつまた突然に噴火するかもしれません。
本書では、まず中部・近畿・中国の火山についての概説をおこない、その後「噴火のメカニズム」と「噴火の予知」の簡単な解説をしてあります。そのうえで、焼岳、乗鞍、御嶽、白山、神鍋、大山、三瓶の各火山について取り上げています。また、巻末には簡単な用語解説をのせています。
各火山の項では、地形図や交通にかんする情報をしめした後に、観察するさいの注意事項や観察に適した時期が述べられています。それから、火山地形や噴火史の概説、それに温泉の紹介があり、その後に観察地点の解説がしめされています。
本書には、日本火山学会火山地質ワーキンググループのメンバーをはじめ、フィールドの第一線で活躍するさまざまな研究者の方のこれまでの研究成果がもりこまれています。一般の方にも理解できるようにやさしく書かれてはありますが、内容の学術的レベルは決して落としてありません。
本書を手にして、火山のフィールドに出かけてみましょう。厳しくも美しい自然と出会い、温泉を満喫し、火山と直接対話することによって、その本当の姿にふれることができるはずです。
【主要目次】
中部・近畿・中国の火山/噴火のメカニズム/噴火の予知/
7つの火山について個別解説(下記【収録した火山】を参照のこと)/用語の解説
【収録した火山】
焼岳(上高地をつくった活動的火山をさぐる)
乗鞍岳(3000m級のたおやかな火山を歩く)
御嶽(火山灰を降らした生きている信仰の火山)
白山(過去の噴火を記録する湿原と火口群をめぐる)
神鍋山(近畿地方の代表的な第四紀火山)
大山(日本海岸にそびえる巨大溶岩ドームと山麓の火砕流をたずねて)
三瓶山(縄文時代に大噴火した山陰でもっとも新しい火山)
内容説明
日本の代表的な火山の成り立ちを歩いて知るコース設定と解説。ハイキングから防災まで、幅広く使える本格的な火山フィールドガイド。
目次
1 焼岳火山―上高地をつくった活動的火山をさぐる
2 乗鞍火山―3000m級のたおやかな火山を歩く
3 御岳火山―火山灰を降らした生きている信仰の火山
4 白山火山―過去の噴火を記録する湿原と火口群をめぐる
5 神鍋単成火山群―近畿地方の代表的な第四紀火山
6 大山火山―日本海岸にそびえる巨大溶岩ドームと山麓の火砕流をたずねて
7 三瓶火山―縄文時代に大噴火した山陰でもっとも新しい火山