清らの人―折口信夫・釈迢空 「緑縁のインク」の幻想

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  • サイズ B6判/ページ数 306p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784806046417
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C1095

内容説明

著者は詩人の透視力と小説家の人間把握力とをもって、世上に流布し、私自身の心の片隅にも魚の小骨のように引っかかっていた折口ホモセクシュアル説を鮮やかにくつがえし、併せて折口文学を排他的なカルト信者の手から、驚くべき寛やかで濶達で豊饒な世界へと解き放った。十代に親炙した釈迢空の短歌についての思い出、塵労に疲れた中年男の再発見した折口の「清ら」の世界、孤児意識に悩まされつつ大和を彷徨する折口少年の後ろ姿、弟子たちにひどく不器用に愛情を発露する折口先生、折口に惚れとおした二人の女性の知られざる生涯、そして大食漢・折口の痛快きわまる椀盤振舞…。本書は唯一無二の画期的な折口信夫論である。

目次

序章 遠い記憶の淵から
第1章 複雑に錯綜する緑の陰翳
第2章 さまよえる「清ら」の風景
第3章 「無用者」の憂鬱と情熱
第4章 清らかな同性への憧憬
第5章 激しすぎる教育者の愛
第6章 深く広い「身内」への愛
第7章 人厭いと人間好きの愛
第8章 秘められた女性への愛
第9章 「黒衣の旅びと」の透明な孤独
第10章 闇の底から甦る神々
終章 生命の指標として

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

6
「釈迢空は、教育というものを学問だけとは考えていなかった。彼の教育は、どの時期を通じても、短歌や連句などの創作を通して弟子たちと交流する、全人教育とでもいった内容を持っていたから、鈴木金太郎にしても、伊勢清志にしたも、ほとんど個人的な自由な時間はなく、息を吐くひまもなかったことは、容易に想像できる。ところが、伊勢清志は遠く鹿児島の高等学校に入学し、自由の天地に足を踏み入れることができた。そしてタブーの対象にも近かった異性に触れることができた…伊勢清志の行動は、自己の解放であると同時に…日常への落伍だった」2022/11/03

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