内容説明
詩人レニエの奇しくも美しい幻想・魅惑の世界。静まりかえった水、黙りこんだ石、光り輝く空―水の都ヴェネチア。レニエの友が多数のイラストで描く。
目次
扉の詩
朱ぬりのインクスタンド
幻覚
鍵
風変りな庭園
肖像
ツァッテーレ河岸
象
茶碗
文具箱
渡し場
美しい貴婦人
ベッチーナの気まぐれ
喜劇
策略
売邸
画家
一寸法師
宮殿
屋形
冬
病後快復期
ブレンタ河
仮面
ヴェネチア短章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
105
我が国の永井荷風が愛した仏の文人レニエがヴェネチアに捧げた散文詩。実際のヴェネチアは美しいところだと思うが、ここで描かれるその都市は現実のものよりもさらに美しく、詩的な輝きを帯びている。脳裏にくっきりと映像を喚起する文章が見事で、読んでいると運河を通るゴンドラや、仮面をつけた貴婦人たちを目の前で見ているような感覚になる。ブルーストに絶賛されたと言うドトマの挿絵も良かった。光と影のコントラストを巧みに使った画法で、ヴェネチアという街の陰影を見事に浮かび上がらせている。2014/12/24
みかん
0
ここまで懐古主義が濃厚な作品も珍しい。ブロツキーの「Watermark」と並べて置いておきたい。2019/05/06