出版社内容情報
今世紀の最も重要なイタリア人美術史家による正統なアカデミズム美術批評の真髄の本邦初訳の第1巻。
内容説明
本書に掲載された十五のテクストは、監訳者の動機と判断によって集められたものである(このような論文集がイタリアに存在するわけではない)。モダニズムの戦闘的な批評家で、かつ不世出の歴史家というヤヌス的な相貌とともに登場する、この二十世紀のダイダロスの巧みは、たとえその片鱗にとどまるとしても、ここで初めて紹介されることになる。そのために本書では、地理的にも時間的にも広がりのあるテクストがあえて選ばれている。「時間的」とは、十三世紀から現代にまでおよぶその研究対象の幅のみならず、第一線での長い研究活動(1910年代から1970年まで)を指すものであり、他方「地理的」とは、文字通り、トスカーナやヴェネツィアに限定されない、イタリアの各地方の美術の積極的な発掘・評価を示している。しかも、これらのどのテクストにも、論争的な戦略がスリリングに仕掛けられている。さらに私たちは、専門的な学術論文にとどまらず、講演、シナリオ、啓蒙的な小論等といった、多様なスタイルの文章を翻訳したいと考えた。そこにもまたロンギの魅力が凝縮されているからである。
目次
未来派の画家たち(1913)
カラヴァッジョ問題―その先駆者たち(1929)(抄)
フェッラーラ大工房(1934)(抄)
ボローニャ絵画の日々(1934)
ドゥエチェント審判(1939)
イタリア芸術とドイツ芸術(1941)
「フィオーレ」のモランディ(1945)
ヴェネツィア絵画五百年の糧(1946)
カルミネ聖堂のフレスコ画、マザッチョ、ダンテ(1950)
カラヴァッジョとそのサークル(1951)〔ほか〕