内容説明
現憲法=戦後天皇制に鋭い一太刀を浴びせ、憤死した三島由紀夫。自決から20年の間、多くの論客たちが、三島思想をその作品、とりわけ「豊饒の海」四部作から解いてきた。しかし、その全ては「輪廻転生」の理解の曖昧さから、大きく的を外している。誰も射貫くことができなかったこの的に挑んだ鬼才・小室直樹が喝破した三島思想の究極―そこには天皇制への“猛毒”が隠されていた。
目次
第1章 三島由紀夫と二・二六事件
第2章 戦後天皇制に挑戦した三島由紀夫
第3章 死の世界で「生きる」三島由紀夫
第4章 自決の背景
第5章 三島由紀夫の遺言状
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
12
もって回った思わせぶりな運び、補助線に始まって進展しない、安定の小室流。キー・パーソンの山本舜勝と藤原岩市も解説せず、識とは何かも説明せずに唯識論を説明、「これを理解することなしに三島理解は不可能」を繰り返し引用任せで「これほど簡にして要を得たものを知らない」と説明はせず、挙げ句の果てには「残念だが、歯切れ悪くならざるを得ない理由があって具体的に示せない」、本書の末尾さえも「……ということを結論としたいところであるが、このように三島由紀夫の作品を解釈すれば、それは根本的な誤解になる」。小室は天皇にかぎ括弧2020/11/28
なまはげ
1
三島由紀夫論というよりは仏教論として興味深い。小室先生らしく独特の切り口で文章は進んで行きます。特に226事件の顛末を仏教という哲学で説明されてるところや本来は仏教では霊魂の存在を認めていないという日本人にとっては「?」というのも詳しく説明がされいます、などと感想を書くと小難しい感じがしますが小室先生の文章は読みやすく面白いと思います。2016/05/21
MIRACLE
0
三島由紀夫の思想、天皇論、自刃について持論を狂信的に展開した本。三島の文章からの引用が大量にある。著者の文章は自刃の解釈あたりから、非論理的になっていき、結論を次著に持ち越している。2016/03/06