内容説明
元亀三年(1572年)、武田信玄が上洛を開始。主力部隊の側面警護を務める猛将・剣崎弦馬率いる別動隊は、天龍峡の丘に奇妙な小城を発見する。その城は無表情の壁面を持つ四方形で、堀もなく櫓もない異様なものだった。さらには人影も見当たらない。弦馬は徳川軍の城と判断し、突撃の命を下すが、仕掛けられた数々の罠によって兵たちは次々と血の海に沈んでいく。異常な事態に当惑しながらも、弦馬は死力を尽くして謎の城を攻略せんとするが…。凄惨な戦闘シーンと驚愕のミステリー、全く新しい戦国時代小説巨篇!
著者等紹介
三吉眞一郎[ミヨシシンイチロウ]
1951年静岡県静岡市生まれ。獨協大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、サンリオに入社。3年後に退社し、ドイツのフライブルグ大学に留学。ヨーロッパに残るイスラム建築について学ぶ。帰国後、広告代理店アサツーディ・ケイに入社。広告プランナーとして活動。2011年に定年退職後、執筆活動に入り、『翳りの城』(単行本・2013年小社刊)で作家デビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
3
信玄の上洛にあたり、別動隊として進む剣崎弦馬の軍団は奇妙な城に遭遇する。堀も櫓もない小城を訝りながら、力攻めを決意して攻め込んだ部隊を待っていたのは、人を喰らう城だった。今川遺臣と領民の復讐に燃える気持ちに共感すれば、どれほど残虐な殺戮も許せてしまう。信玄の野望を挫くなんて大きな目標がなくても、無力な庶民としては復讐の機会を得ただけでも満足だろう。城の設定はおもしろいし、弦馬と主膳の確執とか庵寿の来歴とか、時代に翻弄される男たちに胸を熱くする物語なのに、スプラッタ小説の印象ばかりが残るな。 (★★★☆☆)2018/03/24
大統領
2
凄惨の一言に尽きる。必要以上に残酷な描写が気になったが、ラストの庵寿と重太郎の十字架を背負っての対峙が印象的だった。城の見取り図が欲しかったな?2019/07/06
Tac
1
某読み放題サービスにて。とにかく前半の「人喰い城」の不気味さが圧巻。全く人影の見えない城の中で、次から次とトラップに引っかかり死んでいく武田軍の惨状は、よく出来たホラー小説の様でした。2017/10/08
正太郎
1
血と油にまみれた攻城戦の話です。ただ、この城は守るための城ではなく、人を食らう城です。城での殺戮がメインですが、鉄砲と大筒の一騎打ちのシーンがあり、これがいい感じでした。利で動くのではない所が好きです。なかなか、どうして面白かったです。2016/08/31
綺楽院 /kiraku-in
1
ふむぅ。映像でみたら面白いか。攻め手が城を抜き、守り手は時を稼ぐという必然が、状況と人も併せ書ききれていない。趣は城の妙ありきだが構造が漠然とし腑に落ちない。結末も曖昧で、信玄や家康がこの始末をどうつけたのかもわからない。あのころの角川映画みたいな、グイグイ感はあって面白かったのですが、なにかずるりとした残るものが足りない印象でした。次作には期待!2016/07/24