内容説明
近代皇族男子総数の約七七パーセントが軍人となり、幕末・維新期の戊辰戦争以後、日清・日露戦争、満洲事変、アジア・太平洋戦争にいたるまで、現場指揮官、軍中枢、天皇の相談役といったさまざまな地位で関与していた―。天皇に次ぐ権威をもった彼らの、陸海軍人として果たした「役割」と「素顔」
目次
第1章 皇族軍人の誕生(詩歌と書道の宮家;戊辰戦争;政治要職に就く皇族たち)
第2章 国民皆兵と皇族の軍人化(「皇族自今海陸軍に」;士官養成学校と皇族;海外で学ぶ皇族たち;西南戦争と大元帥天皇の誕生)
第3章 出征する皇族軍人(日清戦争と皇族軍人―陸軍;日清戦争と皇族軍人―海軍;日露戦争と皇族軍人―陸軍;日露戦争と皇族軍人―海軍)
第4章 戦地から遠ざかる皇族軍人(日露戦争後の皇族軍人;第一次世界大戦と皇族;ヨーロッパの空の下で)
第5章 政治的活性化する皇族軍人(軍縮から軍拡へ;混迷する中国戦線;帝国陸海軍の崩壊と皇族)
著者等紹介
小田部雄次[オタベユウジ]
1952年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。現在、静岡福祉大学社会福祉学部教授。専攻は日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おらひらお
3
2016年初版。華族・皇族に造詣が深い著者による一冊。これまでは中公新書のものを読んでいましたが、こんどは洋泉社・・・。ところどころ既読感もありましたが、新知見も多かったです。憲法改正で皇室が軍事的シンボルとなる日は来るのでしょうか・・・。著者はそれらは皇室の崩壊危機を招くと指摘しています。2017/03/12
秋津
1
天皇、そして皇族の軍事上の役割について考察した一冊。戊辰戦争、日清戦争、日露戦争などへの皇族の従軍、皇族の軍人化の方針は維持されつつも、宮家廃絶の危惧などによる後方への配置、軍縮条約や国家改造運動などの政治運動をめぐり「天皇の代弁者」を超えた役割など、天皇の活動や華族の動きなども交えた「大元帥と皇族軍人」シリーズに続いて、明治からの「主体性をもった独立した軍人」としての皇族の動きを興味深く読みました。2016/09/11