鉄条網の歴史―自然・人間・戦争を変貌させた負の大発明

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  • サイズ B6判/ページ数 286p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784800300973
  • NDC分類 361.8
  • Cコード C0022

内容説明

誕生から140年余、農牧場を囲うために生まれた鉄条網は、敵と味方、支配と従属、富者と貧者を分離する冷徹・無比なテクノロジーとなった。変哲もないトゲ付き鉄線が辿った「外敵排除」の近現代史。

目次

第1章 西部開拓の主役―鉄条網が変えたフロンティアの景色
第2章 土地の囲い込みと土壌破壊―大恐慌に追い討ちをかけた黄塵
第3章 塹壕戦の主役―第一次大戦の兵器となった鉄条網
第4章 人間を拘束するフェンス―鉄条網が可能にした強制収容所
第5章 民族対立が生んだ強制収容所―「差別する側」と「される側」
第6章 世界を分断する境界線―国境を主張する鉄条網
第7章 追いつめられる先住民―鉄条網で排除された人びと
第8章 よみがえった自然―鉄条網に守られた地域

著者等紹介

石弘之[イシヒロユキ]
1940年東京都に生まれる。東京大学卒業後、朝日新聞社に入社。ニューヨーク特派員、編集委員などを経て退社。国連環境計画(UNEP=本部ナイロビ)上級顧問。96年から東京大学大学院教授、ザンビア特命全権大使、北海道大学大学院教授、東京農業大学教授を歴任。この間、国際協力事業団参与、東中欧環境センター理事(ブタペスト)などを兼務。英国ロイヤルソサエティ(RSA)会員。国連ボーマ賞、国連グローバル500賞、毎日出版文化賞をそれぞれ受賞

石紀美子[イシキミコ]
東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHKに入社。科学番組部、社会情報番組部に所属し退社。2000年から2003年までボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボの国連機関に勤務し、戦後復興プロジェクトに従事。ボスニアの公共放送局設立のプロジェクトを担当する。帰国後は、フリーでテレビ番組、映画製作、記事執筆。現在は、在住先のサンフランシスコより、日本ビジネスプレスに米国の最新事情を連載中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

futabakouji2

6
鉄条網は西部開拓で必要だったもの。何故必要だったのかというと農地、牧場を作ろうとしても周りは牛がいっぱいいて、柵を作ったりする。その労力が家庭では大きな負担になる。その負担解消のために安くて簡単に作れる鉄条網が発明された。その鉄条網は発明されたアメリカではカウボーイの仕事が無くなってしまう。限られた土地のなかで資源を使いまくり地味の枯渇。おまけに国民国家形成の中で国民の中にいる異分子を隔離する。戦争でも活躍。モノから見る世界史から新たな視点が加わられた。映画の紹介も多くあるので今後見よう。2019/05/01

くたすけ

2
木やブロックで作る塀よりも経済的であり軽くて施工性にも優れている。さらに砲撃や銃撃によっても壊れることがなく、その機能が低下しない対動物や対人陣障害物として優秀な鉄条網について、発明から現代までの様々な役割について書かれた本である。全八章のうち1~3章では西部開拓時代に必要とされ発明された経緯や第1次大戦での塹壕戦での役割等の記載がありますが、残りは鉄条網をとおして民族紛争や強制収容所、さらには原発事故と鉄条網自体からは離れていきます。むしろ、著者が書きたかったのは、後半部分じゃないかと思います。2015/05/15

ERNESTO

2
ホンカツが「日本でやると、私のように摩擦が起きるから、決して日本の指摘はしない」と批判していた、朝日の同僚であった著者の本。 本作も危うきものには近づかない遠足精神は継承され、日本の事に触れているのは、福島に巻末付近で少しだけだ。 しかもその精神は共著者の娘にまで引き継がれている。 石氏の批判の為に読了したわけではないので、この辺でやめる。 1860年代に農作物を家畜から守る為の柵として発明された鉄条網。 2013/06/21

wukann(かの〜)

2
アメリカ西部開拓時代、家畜と農作物を遮断する「万能フェンス」として発明されてから今に到るまで、鉄条網が人類にとってどのように使われてきたか。安価に製造でき、また設置も容易な万能フェンスはやがて人を分断する用途として扱われ、戦争時の塹壕や強制収容所、民族の分断という役目を負う。設置されているのを目にするだけで恐怖すら覚える鉄条網という存在を軸に辿る人類のダークサイドが綴られる。しかし、韓国-北朝鮮間の緩衝地帯やチェルノブイリ等、人を遮断したエリアが野生の動植物の楽園と化したのは何とも皮肉な事か。2013/05/24

Da1

2
有刺鉄線は1870年代の発明以来、安価で設置が容易であったため農業者の間で爆発的に普及していった。米中西部では森林が希少であり、広大な木柵の設置が困難だったという事情も普及を加速させた要因である。さて大平原の光景を一変させたアイテムはやがて戦場や収容所で使用されるようになる。有刺鉄線の機能はただ分断するだけである。それは外敵と家畜を分断することを企図されたが、やがて侵略者と先住民、ドイツ人とユダヤ人、セルビア人とボスニア人を分断してきた負の歴史がある。本書は有刺鉄線がある非情な光景を歴史と共に報告する。2013/05/16

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