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病気と日本文学―近現代文学講義

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  • サイズ 新書判/ページ数 284p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784800300096
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0295

内容説明

子規の結核、漱石の胃潰瘍と神経衰弱、芥川の神経症と自殺、北條民雄のハンセン氏病、川端の創作した架空の病、武田泰淳の描いた精神病院、柄谷の論じた近代という病―。身体に、そして精神に密接に結びついた様々な「病」。斬新な切り口から、文学史、近現代史、そして文学と批評の本質が鮮やかに浮かび上がる。著者の慶應義塾大学での迫真の講義を再構成して収録。

目次

第1講 近代日本文学の源流―正岡子規『仰臥漫録』
第2講 近代小説の宿命―夏目漱石『明暗』
第3講 私小説のリアリティ―宇野浩二『思い川・枯木のある風景・蔵の中』
第4講 作家のキャリアとしての自殺―芥川龍之介『河童・或阿呆の一生』
第5講 実名不明の作家―北條民雄『いのちの初夜』
第6講 戦後文学における「身体」と「死体」―椎名麟三『自由の彼方で』
第7講 社会派ミステリーにおける「病気」―松本清張『砂の器』
第8講 正気と狂気の狭間の架空の病―川端康成『たんぽぽ』
第9講 近代社会における神―武田泰淳『富士』
第10講 近代という病―柄谷行人『意味という病』
特別講義 女性の身体と文学―円地文子『朱を奪うもの』三部作

著者等紹介

福田和也[フクダカズヤ]
1960年、東京生まれ。文芸評論家。慶應義塾大学文学部仏文科卒業、同大学院文学研究科仏文学専攻修士課程修了。現在、慶應義塾大学環境情報学部教授。93年『日本の家郷』で三島由紀夫賞、96年『甘美な人生』で平林たい子文学賞、2002年『地ひらく』で山本七平賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

giant_nobita

8
「自分の窮状を身も蓋もなく率直に書き出していく、写生という方法によって言文一致体を完成させた」正岡子規。言文一致による自己と思惟の一致を小説の世界で実践し、絶対に相容れない他者同士の会話の中に真実を求めた夏目漱石。「身体も心もあてにならない」という漱石的な心身観から導かれた生命賛歌を鮮明に提示した北条民雄。その真逆として、「身体もダメ精神もダメ、そこで生命ではなくむしろ死、死体という感覚」を描いた椎名麟三。講義録ということで文学史的知識を語る脱線も目立つが、こういう視点で日本文学を捉えるのは新鮮だった。2018/11/24

きつね

5
期待外れ。「毎年行き当たりばったりで、今年も、病気と日本文学というテーマに深い企みがあったわけではない(略)作品の質だけは保証(略)講義の質が追いつかなくて申し訳なかった」p.256 これにつきるよ。 p57「ジョン・ネイスンというアメリカ人と、先日話す機会があって(…)漱石はヘンリー・ジェイムズを果たして読んでいたのだろうか、と彼は言うんですね。資料としてはそういう事実は残っていない」ダウト。『金の盃』に書き込みがあり、明暗への影響が指摘されている。 あと「すべからく」は総てって意味じゃないですよ。2012/09/24

ローリングエルボー

1
面白かったが、どこにピントを合わせているのかわからなかった。2018/09/04

ひろただでござる

1
色々な「?」が「!」になった。2013/04/18

ニールキャサディ

1
各国の文学のテーマ、イギリスは相続、フランスは借金、アメリカは幽霊、ロシアは信仰、ドイツは山、そして日本の近代文学のテーマは自殺という的確な指摘に驚かされた。正岡子規の写生文が新しい日本語を作ったこと、漱石や芥川が病気や精神の失調を通してその作品にいかに深みを与えたかを、非常に分かりやすく話していて、名講義と言える。2012/10/08

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