内容説明
「長生き」は本当に万人に幸せなのだろうか。不良化する高齢者が急増。何が彼らをそうさせるのか。万引き、暴行、ストーカー、売春…他人事ではない長寿社会のリアル。
目次
第1章 万引き
第2章 ストーカー
第3章 暴行・DV
第4章 売春
第5章 ホームレス
第6章 孤立死
第7章 生き地獄化する余生
著者等紹介
新郷由起[シンゴウユキ]
1967年、北海道生まれ。OL、イベント関連業務などに従事後、93年より文筆業へ。新聞、雑誌を中心に、放送用構成原稿や別名にて漫画原作も手掛ける。自ら現場を体験する潜入取材を得意とし、観察力と分析力を生かしたルポルタージュには定評がある。『週刊文春』記者を経て、死に携わる現場を8年来にわたり取材(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
84
万引き、ストーカー、暴行・DV、売春など半グレ化する不良老人。まるで週刊誌の記事を読んでいるかのようなノリだが、高齢者自身の満たされぬ思いや抑えきれない衝動で起きている問題行動は、加齢が抑止する壁にはなっていないことをルポした本。「老年期に入れば、誰しもが“他者報酬型”ではあり得ず、自分で自分を認める“自己報酬型”へ切り替えないと不満は溜まる一方」という情動認知行動療法研究の宗像恒次氏のコメントがあり、高齢者にあっては「老いてこそ社会に欲される“人としての役割”を」というのが処方箋らしき結論。2016/06/05
miww
74
これまで読んだ老人、老後に関する本の中でいちばん濃い内容でした。万引き、ストーカー、暴行、DV、売春って老人がですか?とドン引き、お年寄りのイメージが大きく変わりました。まあ考えてみればそういう人達がいるのは当たり前なんだけど‥。後半の孤独死問題、増加する高齢者の自殺。その悲惨さは目を覆いたくなる。独居より家族と同居のお年寄りの自殺率の方が高いという事実は家庭内で孤立している現実が浮き彫りに。元気と時間を持て余している人達、プライドを捨てきれず社会との関わりを断つ人達。自分の老後に大変参考になりました。2016/06/01
kinkin
70
超高齢化社会。98歳の万引き老女、ストーカーやDV、78歳のAV女優、60代のデリヘルなど、つい20年前なら信じられないことが最近当たり前になっているようだ。。それを面白いと三面記事として載る時代ではなくなっていることがこの本には書かれている。一体どこからが老人なのか、65歳以上を老人として定義していいものなのか、読んでいて多くのことを考えさせられた。高度経済成長やバブル時代を体験し、本来は安らかな老後を考えていたとすると、やはりこの国の歪みは加速して膨らんでいることは確かだ。図書館本。2015/03/07
キムチ27
69
読み始めは週刊現代的なルポの類か・・と思いきや、秀作!結構時間をかけ、行きつ戻りつで読み終えた。仕事関連の一冊といえる感じのドキュメント・・というのも連日マスコミで言い尽くされた感がある「現代社会が直面せざるを得ぬ近未来」に言われているような手垢が付いたような、おもねるテイストコメントは出てこない。女性の手になることもあってか筆致はややもするとウェット。とは言え、事実を直視し、淡々とした直截的な体験談が続く。特にシニア世代男性への視線に共感が持て、うんうんと激しく同意。周囲に一読のお奨めの声かけした一冊★2015/12/27
こばまり
62
万引きストーカーDV売春ホームレス孤立死とお馴染みのキーワードが並ぶ中、本書が優れているのは当事者のコメントが多数収められているところだ。しかしこんな晴天の連休の午後に読むのではなかった。果たして私は大丈夫だろうか。2015/09/22