内容説明
名作『カラマーゾフの兄弟』は、複合的な要素を持っている。宗教小説、恋愛小説、家庭小説、そして、法廷ミステリーでもある。作中、カラマーゾフ家の父であるフョードルが殺害され、容疑者として長男ミーチャが逮捕される。ミーチャは容疑を否認するが、状況証拠からはミーチャが殺したとしか思えない。そのような状況での裁判シーンが『カラマーゾフの兄弟』のクライマックスである。そのシーンをもとに裁判記録をつくったのが本書である―
目次
第1部 起訴状朗読
第2部 検察側証拠(カラマーゾフ家召使グリゴーリーの供述調書;グリゴーリーの妻マルファの供述調書;学生ラキーチンの供述調書 ほか)
第3部 弁護側証拠(婚約者カテリーナの証言;恋人グルーシェニカの証言;グリゴーリーへの反対尋問 ほか)
第4部 論告・弁論
第5部 答え合わせ
著者等紹介
津田岳宏[ツダタカヒロ]
昭和54年生まれ。弁護士。京都大学経済学部卒業。京都グリーン法律事務所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桂けい
7
法廷ミステリーとして読むと、ドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟を知らなくても、楽しめる一冊でした。 三男のアレクセイ、原作では主人公?なのですが、この本では異様に影が薄いです(笑)2016/04/16
紫
4
『カラマーゾフの兄弟』は途中まで読んで挫折していたのですが、この本は一気に読むことができました。先の気になり具合がミステリーのようでした。きっと現実世界で生きてる人ってミーチャみたいに支離滅裂だったり矛盾してたりするのが本当なんだろうな…それを裁くのはすごく難しいことだと思います。ミーチャの裁判の結末はこの本には書かれていないので、挫折した原作に頑張って挑んでみようかなと思いました。2014/11/04
なかなこ
4
読むのに結構時間がかかったカラマーゾフの兄弟だけど、これはさらりと読了!読みやすかったです。法律の側面から見るとまた違った面白さがあるんですねー。原作を読んでいない人は、誰が殺したのか推理できてまた違った面白さがありそう。2014/08/19
エイドリアン
4
実はまだ「カラマーゾフの兄弟」を読んだことがありません。今、私の中で密かに、ドストエフスキーがブームで、「罪と罰」読みたい!などと思って、まだ手を出していません。「カラマーゾフの兄弟」も話の内容はなんとなく知っていたんですが、この裁判のドラマチックな所はかなり、手に汗を握りながら読みました。で、結局、ミーチャはどんな判決が言い渡されたのか?それは、小説を読まないといけないってことですね。2014/08/16
北条ひかり
3
3時間12分。音声デイジー。熊本県点字図書館と音訳者さんに感謝。「カラマーゾフの兄弟」の法廷場面を用いてリーガルマインド(和製英語。笑)を身につけようという本。着想は面白いのだが、リーガルマインドの養成を目指すのであれば、結末は不要なのでは?(「カラマーゾフの妹」の前に読むべきだった。失敗!)2017/01/09