内容説明
万能細胞の研究が進むなど、再生医療技術が格段に成長を見せている今日、生命倫理学―バイオエシックス―の理解が急務となっている。しかし、元々アメリカから導入された学問としてのバイオエシックスは、文化や価値観の異なるわが国においてうまく受容されていない現状にある。本書はこうした危惧を受け、日本独自の文化や死生観を踏まえた上でわが国に適したバイオエシックスのかたちを模索する、まさに時宜を得た研究である。
目次
「生命の問い」とは何か―「いのち」の何が問われているか
第1部 日本の生命倫理学の展開と課題(生命倫理とは何か;日本のバイオエシックス導入と展開、覚書)
第2部 再生医療研究における「生命」の意味(先端医療技術の倫理問題は技術的に解決できるのか―再生医療をめぐって;再生医療技術への宗教の関わり―ES細胞・iPS細胞研究における「全能性」をめぐって;先端医療技術における「回復」の意味―再生医療と「全能性」をめぐって ほか)
第3部 生命倫理学と死生学の接点(生死のかたち―「日本人の死生観」と生命倫理;医療を求める旅の倫理―メディカル・ツーリズムとタランスプラント・ツーリズムの間にあるもの;PEG施行における「患者の事前指示」と「家族の希望」―生命倫理学の立場から ほか)
著者等紹介
大林雅之[オオバヤシマサユキ]
1950(昭和25)年東京に生まれる。1986(昭和61)年上智大学大学院理工学研究科生物科学専攻(生命科学基礎論部門)博士後期課程単位取得。ジョージタウン大学ケネディー倫理研究所客員研究員、産業医科大学講師、山口大学医学部教授、川崎医療福祉大学教授、京都工芸繊維大学大学院教授などを経て、東洋英和女学院大学教授。専攻、生命倫理学(バイオエシックス)、科学史、科学哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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