出版社内容情報
国民総背番号制が現実のものとなった。同様の制度を導入している国々が、情報流出と不正使用に喘いでいる。目先の僅かな利益、利便性の代償は計り知れない。今後の監視社会の恐ろしさを明らかにする。
内容説明
国民総背番号制とという悪夢が現実のものとなった。同様の制度を導入しているアメリカや韓国が、情報流出と不正使用に喘ぎ、アメリカはすでに番号分散化を検討している。日本はいったいどこへ向かっているのか。目先の僅かな利益、利便性への代償は計り知れない。崩壊必至のマイナンバー制度の問題点を明らかにする
目次
序章 「舞番号」
第1章 蘇る「一億総背番号」(モデルはエストニア;マイナンバーはよいことずくめ? ほか)
第2章 私たちを腐敗させるシステム(マイナンバー狂騒曲;何もかもがビジネスチャンス? ほか)
第3章 世界を変えたビッグデータ(「ワンカード化」のねらい;改正個人情報保護法とは? ほか)
第4章 超監視社会がやってくる(有識者会議が夢想していた監視体制;監視ツールがつながる日)
著者等紹介
斎藤貴男[サイトウタカオ]
ジャーナリスト。1958年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業。英国バーミンガム大学大学院修了(国際学MA)。日本工業新聞記者、週刊文春記者などを経てフリーに。2012年、『「東京電力」研究―排除の系譜』(講談社)で第3回「いける本」大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
21
マイナンバーについて日本政府は「グローバルスタンダードだ」とか、「先進国で導入していないのは日本くらいなもの」と盛んに喧伝してきた。ところがイギリスでは、共通番号制度を創設しようとしたが、制度廃止を唱える政権の誕生により実現しなかった。またドイツは納税者番号はあるが共通番号制度はない。アメリカやカナダでは社会保障番号が様々な分野で利用されているが、どちらも番号の取得は任意であり、日本のような強制ではない。一方、イタリアでは納税者番号が社会保障の分野でも利用されているが、日本のような生涯不変の番号ではない。2016/10/30
ERNESTO
7
監視社会を90年代から警告している、私が頼りにしている著者の一人。 生活保護水際作戦で、市役所に警察OBを配置して、断らせる厚労省指導をブログネタにする。2016/05/06
hk
7
2016年、藪から棒に開始されたマイナンバー制度。市井の人々の利便性向上、行政の効率化、脱税や生活保護不正受給の抑止うんぬん、社会へのベネフィットがかしましく報道されている。だがマイナンバー制度の導入は本格的な監視社会への一里塚だ。ただでさえ失われえた20年間によって閉塞感が強く漂っている現在日本の息苦しさを、更に助長するのではないか?本書ではそういった問題提起を行った上で、スマートメーターとマイナンバー制度の連動など予想されうる監視体制が具体的に列挙されている。果たして誰のための制度なのだろうか?2016/04/25
どら猫さとっち
7
昨年から開始された“マイナンバー制度”。しかしそれは、あまりにも恐ろしい存在だった!悪用されて犯罪になったり、プライバシー侵害にもなったり、自分の生活さえ監視され…。この制度のどこが得して、いいのかがわからない。それどころか、国民の人権も幸せをもないがしろにするつもりか!?少しでも懐疑的な人がいたら、何としてでも読んで欲しい。日本の未来は、この愚策で滅亡する!2016/02/28
まろまろ
6
マイナンバーにより国民が監視される社会になると著者は警告。あまりに突然施行された感がある。国民の声や専門家の議論等に耳を傾けた後に検討してほしかった。ところが開発している当事者は「国民は誰も反対しなかった」と平然と語るとは。まずは税対策のみに活用し、時間をかけて見直していくべき。ただ情報流出と不正使用への"想定内"はあり得ないだろう。そして通知カードの受取拒否をしている人たちへの対応も気になる。2016/09/10